やはり水と油なのか。新日本プロレス29日の東京・後楽園ホール大会で、棚橋弘至(42)とオカダ・カズチカ(31)が初共闘を果たした。近年のプロレス界で2トップとして君臨する逸材とレインメーカーの化学反応に注目が集まったものの、6人タッグ戦で敗北を喫し、試合後は醜態をさらす結果になった。初陣が不発に終わった要因を追及すると…。

 棚橋とオカダはKUSHIDA(35)を加えたトリオを結成し、ジェイ・ホワイト(26)、バッドラック・ファレ(36)、石森太二(35)組と対戦。2012年にオカダが凱旋帰国して以降、IWGPヘビー級王座を巡る争いのみならず、プロレス界の中心を競い合ってきた両雄がついに同じコーナーに立った。

 開始早々にダブルのバックエルボーをジェイに決めると、終盤にはドラゴンスクリューの競演で会場を沸かせた。ところが、見せ場は長く続かなかった。試合は石森のブラディークロスを浴びたKUSHIDAがフォール負け。しかも棚橋とオカダが、ジェイのブレイドランナー(変型フェースバスター)に揃ってKOされる始末だった。

 試合前から2人には温度差があった。棚橋には今回のコンビ結成に向け「バトンタッチはしないですけど、オカダをこっち側、本隊に引き寄せるのは実は急務なのかもしれない。今は新日本全体の勢力図を大きく動かす時期に来ている」という青写真があった。

 さらに「5月と8月に試合をして(オカダは)もうとっくに俺よりすごい選手なんですよ。CHAOSってほぼベビーフェースなんですけど、何のフィルターも通さずに応援されるオカダも見てみたい。ベビーフェースとしての適性は俺よりもあるんじゃないですか。声も高いですし」とまで語り、長期的な共闘に意欲があった。

 だが、オカダは違った。来年1月4日東京ドーム大会でのシングル戦を控えるジェイとの前哨戦が最重要課題であり、棚橋は「おまけ」でしかなかった。「組みたいと思ってたわけでもないですからね。勝手に会社が決めて、勝手に夢のタッグと言ってる」と切り捨てるや「別に本隊が中心でもないですし、顔になる人ってどこにいても顔になると思ってますし」と必要以上の歩み寄りを拒絶したのだ。

 試合後のバックステージでは棚橋が「もっと華々しく行きたかった」とつぶやくのがやっと。いきなりつまずいたドリームタッグの行方に暗雲が垂れ込めている。