新日本プロレスのIWGPヘビー級王者ケニー・オメガ(34)が12日、来年1月4日東京ドーム大会のV4戦で激突する棚橋弘至(41)に“静養指令”を出した。通常、ここから決戦に向けた主導権争いが激化するが、王者が挑戦者のコンディションを心配するという異例の事態。そこには2年半前の“前科”があった――。

 両雄がヒートアップしたのは、年間最大興行での頂上対決が決定した9日の会見だった。イデオロギー闘争を繰り広げた揚げ句、棚橋からは「ケニーのプロレスには品がない」という手厳しい言葉を投げ付けられた。

 これで挑戦者とはどこまでいっても水と油ということが明白になった。ケニーは「2人のイデオロギーはやはり違う。それは分かっているけど『品がない』とまで言われてしまうと、彼の自信のなさの裏返しのようにも聞こえる」と語る。

 また、飯伏幸太(36)とのパートナー解消を一方的に迫ったことについては「棚橋には本当の友達がいないのかもね。人間関係に対し無理解すぎる。自分勝手で、一番かわいそうな人だ。プロレスをやりすぎて、自分が残してきた伝説を潰している。どんどんそういう人になってしまっている」とあきれたような表情を浮かべた。

 ただし王者にとって、相手はもはやピークを過ぎた「過去のレジェンド」でしかない。切実に感じたのは会見の姿だった。「もうヒザが悪すぎて、普通に歩けてもいないじゃないか」

 次のビッグマッチとなる11月3日のエディオンアリーナ大阪大会ではタッグでの前哨戦が決定したが、今はそこに向けた闘志も湧いてこない。

「できるだけ東京ドームまでは棚橋に触りたくない。彼には回復して、ケガを治して、体をつくる時間が必要だ。以前の棚橋にまで戻ることはなくとも、準備をしっかりしてきてほしい」と訴えた。

 ケニーが11・3決戦まで欠場するのに対し、棚橋は次期シリーズ(16日の東京・後楽園ホール大会で開幕)フル参戦が決まっている。

 そこで頭をよぎるのが、2年半前のアクシデントだ。2016年6月の大阪大会ではケニーが保持するIWGPインターコンチネンタル王座への挑戦が決まっていた棚橋が、決戦直前に負傷。大会に穴をあけた。

「もしあの時のように1週間前とかに欠場したら、ファンの落胆は計り知れない。今だって傷が多すぎて…。棚橋が入場しようとしたら、もしかしたら転んでエプロンに自分の顔をぶつけるかもしれない。俺はそのくらい心配しているんだ」

 平成最後の1・4ドームで王者は、万全の状態のエースを迎え撃つことができるのか。