新日本プロレスのミスターこと永田裕志(50)が9日、地元の千葉・東金アリーナで8回目のプロデュース興行を開催し、大成功に導いた。2250人満員の観衆の前で健在ぶりを見せつけると、改めてレスラー人生の悲願であるIWGPヘビー級王座の最年長戴冠記録更新に意欲。原動力は現在の同記録保持者である天龍源一郎(68)から授かった金言だ。

 凱旋試合のメインで永田は中西学(51)、天山広吉(47)、小島聡(47)と「第3世代カルテット」を結成。ジュース・ロビンソンに白目式腕固めを決めるなど軽快な動きで自軍をけん引した。

 最後は小島の勝利をアシストして「来年は私の格闘技生活35周年大会をここ東金アリーナで開催できればと思います。いくぞ! 1、2、3、ゼァ!」の大合唱で締めくくった。

「(動員が)初めて2000人超えましたんで。この熱を千葉県内に飛び火させたいね。東金だけですから、今(千葉で新日本の大会を)やっているのは。ただ選手としては今日の試合、まだまだ物足りない。まだまだいけると思いました」

 大会総括ではプロモーターとレスラー両方の視点から今後の野望を口にしたが「まだまだ物足りない」の言葉の奥には、レスラー人生最後にして最大の目標として掲げるIWGPの最年長戴冠記録更新がある。

 天龍の記録「49歳10か月」を破ることを宣言して久しいが、今年4月24日には50歳になり、いよいよ当時の天龍を上回る年齢となった。その一方で、昨年限りで真夏の祭典「G1クライマックス」を卒業するなど、第一線で戦う機会は減少傾向にあるのは事実。

 それでも闘志は衰えない。今年1月末のこと。2月2日に68歳の誕生日を迎える天龍を祝う会があり、永田も参加する機会に恵まれた。久々に顔を合わせた天龍から送られた言葉に、気持ちは引き締まった。

「『まだまだプロレスを堪能しきれていない』『まだまだ選手としてやることがあるだろう』といったことですよね。『腹いっぱいプロレスを堪能しろ』っていうのが天龍さんの口癖だから。エールをいただいて、励みになったよね。見る人は見てくれてるんだなって」

 この言葉を胸に刻み「(IWGPが)遠ざかっているようにも見えるけど、一瞬で引き戻してやるって気持ちはあるよ、へっへへ」と王座戦線への返り咲きに闘志を燃やした。今年の大会タイトルにした「青義健在」も、このままでは終われないという思いを込めたもの。“ミスタープロレス”と呼ばれた天龍を超えるため、そして再びファンに雄姿を見せるために、ミスターは何度でも立ち上がる。