新日本プロレス9日の大阪城ホール大会で行われたIWGPヘビー級選手権は挑戦者ケニー・オメガ(34)がオカダ・カズチカ(30)を撃破し第66代王者に輝いた。2008年にDDTで初来日を果たしてから実に10年。苦難を乗り越えてついに日本プロレス界の頂点に立った最強外国人の快挙は、プロレス界のみならず各業界に感動を与え「第10回AKB48世界選抜総選挙」(16日、愛知・ナゴヤドーム)で“王者”を目指すSKE48の松井珠理奈(21)にも届いていた。

 快挙から一夜明けたこの日、ケニーは「本当にギリギリの試合だった。今も全身が痛い。でもだからこそ、俺はこれからも新日本にいるべきだと改めて感じた。プロレスのビジネスを進化させたい」と勝ち誇った。

 唯一無二の盟友・飯伏幸太(36)はもちろん、多くの人に支えられた10年間だった。試合後は現WWEのフィン・ベイラー、カール・アンダーソンら元バレットクラブのメンバーや、古巣DDTの高木三四郎社長から祝福のメッセージが届いた。

「高木さんがまだ自分の試合を見てくれていたことに感動した。DDT時代から応援してくれる人に感謝している。そして俺のスタイルはプロレスをまだ見たことがない人に魅力を伝えることを目的にしている。今後も新しいファンを増やしていきたい」

 日本のプロレスに全てをささげてきたケニーだが、ゲームやアニメ、さらにはアイドルと日本のサブカルチャーにも造詣が深い。16日に迫ったAKB世界選抜総選挙では、昨年プロレス大賞特別賞を受賞したハリウッドJURINAこと松井珠理奈を強烈に「推し」ており、ツイッターを通じてファンに投票を呼び掛ける熱の入りようだ。ケニーは「彼女を通じてプロレスに興味を持った人もいる。だから俺もサポートできるなら、したかった。2人ともチャンピオンになれればいいなと思っていて、こっちはIWGP王者になった。あとはジュリナの番ですよ」とその意図を明かすとともに、越境エールを送った。

 このメッセージを受けて、本紙の取材に応じた珠理奈は「めちゃくちゃパワーになりますよ。ちょうど(大阪城大会から)1週間後なので、私もチャンピオンになって世界を変えます!」と感激を率直に表現。大阪城決戦は動画サービスで観戦したといい「昨年(1・4)のケニー選手とオカダ選手の試合が私の原点。プレッシャーを感じさせない、気持ちの強さを2人から感じました。ケニー選手は10年でベルトを取って、私も今年でデビュー10年なので、集大成を見せたいなと思っています!」と大いに刺激を受けたようだ。

 国籍やジャンルを超えて偉業をたたえられるのは、ケニーのたゆまぬ努力が広く知られているからこそ。愛されるべき外国人王者が、日本プロレス界の新たなリーダーとなる。