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【新日1・4ドーム】棚橋の完全復活V秘話 引退決意を翻した日


棚橋は粘るケニー(下)をハイフライフローで沈めた

 エースがついに完全復活だ。新日本プロレス4日の東京ドーム大会で行われたIWGPヘビー級選手権は挑戦者の棚橋弘至(42)が王者ケニー・オメガ(35)を破り、約4年ぶりに第67代王者として返り咲いた。度重なる故障に苦しみ、一度は引退の決意を固めたこともあったが、3年ぶりに戻ってきた年間最大興行のメインイベントで歴代最多を更新する8度目の戴冠を果たす見事なカムバック。本紙だけが知る復活の舞台裏を公開する――。

 苦しい戦いだった。ケニーの猛攻に苦悶の表情を浮かべる時間帯が続いたが、序盤から徹底したヒザ攻めを展開した。粘るケニーのVトリガーを浴びて大ピンチを迎えるも、片翼の天使をスリングブレイドで切り返す。最後は渾身のハイフライフローで圧殺し、39分13秒の激闘に終止符を打った。

「正直言うと、もうこの舞台には帰ってこれないかと思ってました。またこのIWGPのベルトと新しい風景をつくっていきます」(棚橋)

 2016年大会を最後にかつての「定位置」だった東京ドームのメインから遠ざかった。IWGPインターコンチネンタル(ⅠC)王座を獲得した17年も、6月には右腕、12月に右ヒザの負傷でシリーズを欠場し精彩を欠いた。

 実は同年末、棚橋は本紙に引退について具体的に言及したことがある。それは20年1・4東京ドーム大会で引退を発表し、ラストイヤーとして1年間を戦った末に、翌21年の1・4ドームで引退試合を行うというもの。引退後は経営側として団体を支えるため、フロントに転身する方向性まで見据えていた。

 棚橋は「オカダ(カズチカ)、内藤(哲也)、ケニーで屋台骨がしっかりしてきていて、僕がいることがプラスじゃないんじゃないかと。(自分は)ケガもあって本来の動きができずに、上を目指せないんじゃないかっていう…半分諦めだったりとか。今思うとマイナスの選択肢だったのかもしれないですね」と当時を振り返る。

 胸の内に秘めた決意が覆ったのが昨年5月の福岡国際センター大会。当時のIWGP王者オカダに挑んだ棚橋はレインメーカーに沈み、自身の保持していたIWGPの連続防衛記録を更新される「V12」を許した。

 しかしその日の会場は、棚橋の復活を望む声で埋め尽くされていた。「連続防衛を超えられたっていう悔しさと、そこにあぐらをかいていた恥ずかしい気持ちと。判官びいきだったのもあったんでしょうが、あそこまで一方的な声援をもらったのも初めてだったし。負けはしたんですが『まだやっていいんだ』『もう少し頑張ろう』と。レスラー、求められているうちが華じゃないですか」

 持論は「王者を目指さなくなった時が辞め時」。アスリートとして限界を感じ始め、心が折れかけていたところをファンの声援に後押しされ「行けるところまで行こう」と振り切ることができた。完全復活を印象付けた昨年8月のG1クライマックス優勝、そしてこの日の勝利も、一人の力では決して成し遂げられなかった。

 引退を表明するはずだった1年後の東京ドーム大会は、約16年8か月ぶりの2連戦開催(1月4、5日)となることが正式発表された。新たな黄金期を象徴するビッグプランを「俺がなんとかします」と言い切った。沈んでもまた昇る太陽は、これからもプロレス界を明るく照らし続ける。

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