女子プロレス「アイスリボン」の藤本つかさ(37)が〝古株勢〟の先陣を切り、23日の東京・後楽園ホール大会でICE×∞王者の鈴季すず(18)に挑戦する。

 昨年大みそかの後楽園大会でV4に成功した若き王者の前に立ち、次期挑戦を表明した。「すずがプロレスラーとして生まれた時から知っているのですごい感慨深い。逆の立場なら分かるんですけど、私が挑戦者という立場でこういう場に立つのは想定外だし、驚きでもありますね」と語る。

 昨年4月、緊急事態宣言を受けて5月4日に横浜文化体育館大会で予定していた興行が延期になった。同大会でICE王座挑戦が決まっていた鈴季は号泣。ファンからは「泣いてばっかいるんじゃねえ」と辛らつな意見も届き、落ち込む鈴季の姿を見てきた。

 藤本は「彼女の強みも悩みもやりたいことも知っているし、喜怒哀楽を一緒に共有してきた。あんな不安定だったすずが、たたずまいも王者らしくなり団体の顔として立っている。だからそんなすずに挑戦したくなった」と目を細める。

 ただしベルトをかけて対角線に立つ以上、一選手として向き合う。「彼女は『勝って親孝行する』と言っていたけど、『勝って病院送りにしてやる』くらい言ってほしかった。親孝行の意味を試合後に教えてやりますよ」と闘志を燃やす。

 キャリア12年の藤本にとって、同王座戦は2019年8月以来、約1年5か月ぶり。周囲からは「また藤本か」という声と「若手が頑張っているのに藤本は何もしていない」という声が届いた。「どうせそういうふうに言われるなら『また藤本か』の方がいい」という思いを強くした。

 業界を見回しても58歳のプロレスリングマスターこと武藤敬司が2月12日のノア東京・日本武道館大会でGHCヘビー級王座に挑戦し、51歳の秋山準も同14日のDDT神奈川・カルッツかわさき大会でKO―D無差別級王座に挑む。

 藤本は「昨年は若手が奮闘しているイメージだった。それに感化されたベテラン勢が『じゃあ古株がいくぜ』という流れになっている。そういう現状に後押しされますね。『あっ、私も行っていいいんだ』って。流れに乗れば私もいけるんじゃないかと」とした上で「武藤さんに勝ってほしいな。一番の大御所みたいな存在ですし。私が先陣を切ってチャンピオンにならないとダメですね。今年は古株が来ますよ」とニヤリ。ベテランの逆襲がスタートする。