女子プロレス界の覇権をめぐる「夏の陣」が幕開けする。絶対エースだった紫雷イオ(28)がスターダムを退団し、WWEに移籍したことで、女子プロ界は群雄割拠の時代に突入。新盟主の座を狙うのが藤本つかさ(35)率いる「アイスリボン」だ。カリスマ・長与千種(53)の「マーベラス」もプロレスの“聖地”初進出を機に攻勢をかける。果たして夏を制するのは?

 今夏、注目を集めるのがアイスリボンだ。取締役選手代表としてけん引する藤本は「ウチが一番にという思いはあります。業界が上にいくには、トップの団体が飛び抜けた存在にならないとダメですから。もちろん、そこにいくのはアイスリボンです」と力を込めた。

 いまや、スターダムと双璧をなす人気団体に成長。26日に控える神奈川・横浜文化体育館でのビッグマッチは、藤本の10周年記念大会として行われる。雪妃真矢に世羅りさ(26)、元キャバ嬢のジュリア(24)、テキーラ沙弥(34)と美女戦士を揃えるほか“悪魔仮面”ケンドー・カシン(50)と鈴木秀樹(38)の男子選手も出場する。
「8月の興行でキャパ的には(女子プロでは)アイスが一番大きい。業界を全盛期に戻すんじゃないかというお客さんの期待を確信に変える大会にします」と位置づけた。

 8日に初の後楽園ホール大会を開催するマーベラスも負けていない。長与はスターダムが業界の盟主として君臨する状況が「変わってくる」と見ている。同大会のメインでは愛弟子の彩羽匠(25)がスターダムの新エース・岩谷麻優(25)と一騎打ち。「これがきっかけになればいいよね。火種は8日につくるからスターダムとの抗争がどんな展開になるか。それに今回がファーストアタック。秋から冬にかけて面白いことをやるから」と話した。

 一方で、スターダムのロッシー小川社長(61)は「他団体さんの情報は入っていますけど、全く違うことをやっていると思っているので意識はしてない」と冷静だ。カイリ・セイン(29=宝城カイリ)にイオと2年連続で人気選手がWWEに移籍した影響は否定できない。ただし、手をこまねいているわけではない。12日の後楽園大会ではビッグダディの三女、林下詩美(19)がデビューする。

「一人名前があるスターがいることが大事だし、継続していくことですよ」(小川社長)
 新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」が終盤戦に突入する中、女子の覇権争いからも目が離せない。