マット界の“第4勢力”になる。ドラゴンゲートの木戸亨社長(54)が、ノアのサイバーエージェントグループ入りにより始まった大再編の動きを歓迎した。ドラゲー自体は他団体との提携や合併には消極的ながらも、業界全体の活性化につながると分析。このメリットを追い風にして、本格的な海外への再進出に意欲を見せた。

 新たな再編の動きがあったのが1月末のことだ。IT大手のサイバーエージェント社がDDTに続きノアを買収。新日本プロレスと女子プロレス「スターダム」、キックボクシングイベント「KNOCK OUT」を傘下に収めるブシロードグループに迫る第2勢力が誕生した。さらに第3の勢力として米WWEの日本進出が有力視されるなど、この流れはますます加速しそうだ。

 そんな中、固定ファンを獲得してきたドラゲーの木戸社長は「うちが独自路線をいくのは変わりません。いろんな団体さんが再編しているのは、我々にとってありがたいこと。業界の活性化につながるわけですから。以前から『一つになられたらもっとパワーが出るのにな』と思うのが正直な感想でしたし」と語った。たとえ他団体が大企業を親会社に迎えて大きくなったとしても「うちはお客さんがかぶっていない」と脅威にはならないと見る。

 また、昨年からは“鎖国”体制を方向転換。YAMATO(38)が全日本プロレスに参戦し、東京スポーツ新聞社制定「2019年度プロレス大賞」で新人賞を受賞したストロングマシーン・JがW―1に出場するなど積極的に選手を派遣している。「そこのお客さんにもドラゴンゲートに興味を持ってもらえることにつながる」という意図があり、他団体の躍進により宣伝効果も増すと踏んでいる。

 一方でドラゲー自体は「選手のステータス向上や今以上の大会規模など、全てがみんなにとってプラスになる話なら検討します。実際は難しいんじゃないですかね。現時点でオペレーションをうまく構成できているので」というスタンスを示し、単独で立ち向かうのが現実的とした。

 今後は団体の規模拡大のため、海外進出に本腰を入れる。18年から定期開催する香港大会が大規模デモによる影響で中止となっているが「香港はまた再開したいし、アメリカ、ヨーロッパ大会も目指したい。欧米ではまだ知名度が低いので、選手派遣やネット中継の英語実況などでその足掛かりをつくっていく段階」。混沌とするマット界でドラゲーが台風の目になりそうだ。