DDTの前KO―D無差別級王者・遠藤哲哉(30)が復帰戦で躍動した。

 遠藤は6月12日の「サイバーファイトフェスティバル2022」(さいたま)でノアの中嶋勝彦から強烈な張り手を浴びて失神。脳振とうを起こし、直後のシリーズから欠場となり、保持していたKO―D王座の返上を余儀なくされた。

 24日の後楽園大会で復帰戦を迎え、秋山準、クリス・ブルックスと組んでHARASHIMA、坂口征夫、高尾蒼馬組と対戦。入場時、大きな拍手を浴びた遠藤は先発して坂口とグラウンドの攻防を見せるなど不安を感じさせない動きを見せた。さらに試合が進むと遠藤スペシャルで華麗に飛ぶなどギアを上げていく。終盤には高尾に照準を定めてテツヤインザスカイ、トーチャーラックボムから必殺のバーニングスタープレス(シューティングスタープレス)で舞って3カウントを奪った。

 復帰戦を自らの白星で祝福し観客席に深々と礼をしてリングを降りた遠藤は「42日ぶりの試合、やっぱりリング上ってこんなにしんどいんだなっていうのと、生きている感じがしました」と充実の表情。「リングに上がる以上、無事でリングを降りられる確証はないので。自分の中でデビューしてから今日の勝利が一番うれしいです」とはにかんだ。

 バーニングを組む秋山から「あのことはピンチだったかもしれないけど、それをチャンスに変えられるように頑張ってくれ」とエールを送られるとうなずき、再起を支えた周囲やファンに感謝の言葉を口にする。そして「もう『すいませんでした』とは言いません。『ありがとうございます』の気持ちを届けていきたいです」と前を向いた。

 メイン後にはKO―D無差別級王者・樋口和貞に挑戦を表明し8月20日の大田区総合体育館大会での対戦も決定。ピンチをチャンスに変えるべく、遠藤の再起ロードが始まった。