DDTのエース・竹下幸之介(25)に復活の兆しだ。

 発端は2019年11月で、HARASHIMAに敗れ、KO―D無差別級王座を失ってから長らく低迷が続く。「それまで上り調子だったのが、全く上れなくなって自信を失いました。やる気はあるけど、体も頭も心もついてこない状態になった」。初めて味わったスランプだった。

 現状を打破するため、きっかけを求めたのが米AEWのリングだ。「待っていても何も変わらない。自分から行動しないと」と未知なるリングに飛び込み、先日は3試合に出場。そこで“Y2J”クリス・ジェリコ(50)から背中を押された。

 Y2J必殺の「ウォール・オブ・ジェリコ」(逆エビ固め)にちなみ、自らも「ウォール・オブ・タケシタ」を使う憧れの存在から試合前に「俺は昔、日本で試合をしていたんだ」と話しかけられ、「もちろん知ってます! 試合を見てください」とお願いした。

 ジェリコは竹下の試合をゲートの横から観戦。アドバイスを求めると「何もない。久しぶりにファンに戻って試合を見れたよ」と絶賛された。さらにトニー・カーン社長から「すぐにまた来てくれ」と“オファー”も受けたという。

 この経験で自信を取り戻し、徐々に光が見えつつあるという中、必要な最後のひと押しは結果だけだ。勝俣瞬馬(28)と臨んだ「アルティメットタッグリーグ」の初戦(9日)は佐々木大輔(35)、火野裕士(36)組と時間切れ引き分けに終わったが「なかなか結果が出なかった勝俣とのタッグだから、今度こそ絶対にチャンスをつかみたい。1分けして、もう負けたらきついと思うから」と残り全勝を誓った。

 6月6日の4団体合同興行「サイバーファイトフェスティバル2021」(さいたまスーパーアリーナ)では上野勇希(25)と組み、ノアの清宮海斗(24)、稲村愛輝(28)組との団体対抗戦も控える。「僕個人として自分をアピールできるチャンス」と笑みを浮かべたエースが逆襲をスタートさせる。