47回目を迎えた東京スポーツ新聞社制定「2020年度プロレス大賞」で技能賞に輝いたのは、DDTのKO―D無差別級王座を保持する遠藤哲哉(29)だ。東京スポーツ新聞社・平鍋幸治取締役編集局長からは、ユニット「ダムネーション」の仲間と一緒にトロフィーと表彰状を授与された。決意を新たにしたハイフライヤーは受賞者インタビューで、“業界ナンバーワン”への思い、さらにベールに包まれていたストイックすぎる生活を打ち明けた。

 ――受賞して周囲の反応は

 遠藤 地元の(宮城)白石方面にはすごい伝わっている感じがします。市役所の方から「おめでとうございます」っていう連絡がきました。

 ――昨年を振り返って

 遠藤 プロレスラーになって一番伸びた1年間だったと思います。きっかけ? 田中(将斗)選手ですね。6月に(田中から)ベルトを取ったんですけど、それから「ふがいない試合をしたら、田中選手の名も汚れてしまう」という緊張感を持って過ごせました。

 ――それだけ田中の存在は大きかった

 遠藤 一昨年12月のD王GP優勝決定戦でシングル初対戦だったんですけど、そこで心を打ち砕かれました。スタミナがすごくて、最初から最後まで動きが止まらないんですよ。僕は中盤からバテバテで、スタミナの重要性を感じました。

 ――その反省が進化を呼んだ

 遠藤 はい。スタミナ強化のために短時間で心拍数を上げて、短時間で落ち着かせるインターバルトレーニングを重点的にやりました。僕は瞬発系のスタイルだと思っているので、長時間同じペースで走るよりいいと思って。それが6月の勝利につながったと思います。

 ――昨年はコロナで無観客試合も経験した

 遠藤 当時は周りの目がない分、自分のペースでわがままに試合をできました。それを有観客の時もできるようになったと思います。

 ――コロナ禍も成長につなげたと。それを踏まえて今年の目標は

 遠藤 まずは2月14日のカルッツかわさき大会で秋山準選手(51)からKO―Dのベルトを防衛。その先も1年ベルトを持ち続けて、プロレス大賞MVPを取りたい。毎年“あの団体”じゃ面白くないでしょ、プロレス界。

 ――あの団体とはもちろん

 遠藤 新日本プロレスっていう団体は超えなければいけないと思います。正直、今までは認識が甘かった。(高木三四郎)社長が「新日本を超える」って言っているのに聞こえないふりをしていました。そこへ他団体からゲストコーチとして入ってきた秋山さんにあそこまで言われたら、所属の選手がフラフラしていたらいけないっていう気持ちになりました。

 ――秋山は昨年7月にレンタル移籍してから再三、新日本をライバル視した発言をしている

 遠藤 はい。ただ、DDTらしさっていうのはなくさず。DDTはDDTとして、日本一、世界一を目指していかなければならないと思います。

 ――確認だが、プライベートの目標は今年も…

 遠藤 結婚です。

 ――相手の条件は

 遠藤(趣味の)カブトムシとクワガタに寛容であってほしい。最悪、カブトムシ用の部屋を借りるのは許してほしい。あとはもう、メシ作ってくれたら何でも。

 ――しかしその体を維持する食事は用意するだけで大変そうだ

 遠藤 確かに、食事は気を使ってますね。朝7時に1回起きてプロテインを飲んで二度寝して、9時にまた起きてご飯と焼き魚と卵と納豆とキムチを食べます。ご飯は白米とオートミール半々。で、ジムでトレーニングしてからプロテインとバナナを取って、帰ってから昼食にパスタです。ベースはトマト缶でそこにコンソメと牛のもも肉を入れてます。その後プロテインを2回飲んで、寝る前に鶏の胸肉をアーモンドミルクで煮た変なスープを作ってます。これを毎日です。

 ――毎日!? ストイックにも程がある!

 遠藤 低脂肪高タンパクのメニューを考えるのが面倒だから同じになっているだけですけど。
 ――一日も早く結婚できるよう祈っております


 ☆えんどう・てつや 1991年8月11日生まれ。宮城・白石市出身。同市の観光大使も務める。2012年4月1日の後楽園大会でデビューし、16年にダムネーション入り。名取高新体操部で磨いた身のこなしでDDTきってのハイフライヤーとして活躍する。19年4月に佐々木大輔を破りKO―D無差別級王座を初戴冠。同年7月に竹下幸之介に敗れて陥落したものの、昨年6月7日のTVマッチで田中将斗を破って返り咲きを果たし、ここまで3度の防衛に成功している。180センチ、85キロ。