DDT未来のエース候補で、国士舘大学ラグビー部出身の飯野雄貴(24)が11日、ラグビー日本代表のW杯歴史的初優勝を確信した。

 東京・保善高から国士舘大に進んだ飯野は、日本代表の経験はないものの、関東大学リーグ戦2部で活躍。178センチ、120キロの肉体を誇り、高校では左センター、大学では左プロップと、BKからFW第1列に転向した異例の経歴を誇る。

 卒業後の一昨年8月にデビュー。社会人ラグビーチームの人間模様を描いたTBS系日曜劇場の人気ドラマ「ノーサイド・ゲーム」(原作・池井戸潤)にもレギュラー出演した「スター候補」だ。

 マット上での成長も著しい。日本代表がアイルランドから歴史的勝利を挙げた一戦(9月28日)の翌日にはKO―Dタッグ王座(王者は佐々木大輔、高尾蒼馬組)に初挑戦。6度の長期政権を誇る王者組にあと一歩まで迫った。

 1次リーグ3連勝を決めたサモア戦(5日)翌日には、KO―D6人タッグ王座(パートナーは竹下幸之介、勝俣瞬馬。相手はHARASHIMA、上野勇希、吉村直巳)の2度目の防衛に成功。自らが吉村をフォールして勝負を決めた。まだデビュー2年2か月ながらも日本代表の快進撃が飯野の背中を押している。

 アイルランド戦でW杯初出場を果たし、勝利のキーマンとなった右プロップ具智元(25)とは同学年で、具が拓殖大2年時に対戦。「ファーストスクラムでバインドした瞬間、これは勝てないと思った」と振り返る。

 さらに攻守で圧巻のプレーを続けている左フランカー&NO8の姫野和樹(25=帝京大→トヨタ自動車)も同い年で、高校時代(姫野は愛知・春日丘高校)に練習試合で当たったが「当時から存在感とプレーはズバ抜けていました」と明かした。

 いずれも格上の選手ではあったが「同年代の選手が、日本代表であれだけ頑張って、とんでもない結果を残した。アイルランド戦での具選手の押しの強さ、サモア戦の姫野選手の2回のジャッカルは感動しました。僕もプロレスで頂点を目指そうと改めて心に決めました」と、飯野はベンチプレス210キロを上げるパンパンの上半身に力を込めた。

 台風19号の影響により中止も懸念されている1次リーグ最終戦(13日)のスコットランド戦については「前回のW杯(2015年)で大敗してますからね…。キックを多用してくると思うし(ディフェンスの)裏にパントを上げられた時のボール処理がカギだと思います。ワンチャンスをモノにすれば勝てる。全勝で8強入りできると思います」と目を輝かせた。

 さらには「ニュージーランドに勝って、エディ(ジョーンズ日本代表前ヘッドコーチ)さんが率いるイングランドと決勝戦で当たれたら、最高に感激するドラマですよね。もちろん日本が勝つと信じています!」と語った。

 飯野自身も大勝負を控える。最強決定リーグ戦「D王 GRAND PRIX」(11月29日横浜で開幕、12月28日後楽園で優勝決定戦)初出場が決まったからだ。ブロック分けは未定だが、KO―D無差別級王者の竹下幸之介、同タッグ王者のカリスマ・佐々木大輔、高尾蒼馬組、荒鷲2世こと坂口征夫らの難敵がエントリー。ゼロワンの弾丸男・田中将斗、仙女の怪物・橋本千紘(27)の初参戦も決まった。

 異彩を放つのは唯一の女子選手・橋本の存在だが、6月24日新木場大会ではオブライト(原爆固め)でフォールを奪われており「あの時の借りを返したい。その上で初出場優勝の快挙をやってのけたい」と飯野。期待の大器は日本代表の快進撃を心の支えにして、一気に団体の頂点へ駆け上がるつもりだ。