完敗よ。ハル・ミヤコ女史(年齢不詳)率いる新生IWAジャパンのUMA軍のチュパカブラが、DDT・高梨将弘(36)主催興行(15日、東京・両国KFCホール)で、DDTのアイドルでゆるキャラのポコたんに惨敗した。

 ポコたんはUMA軍の天敵・男色ディーノ(42)が生みの親。細かい説明は省略するが、とにかくいろんな経緯の末、チュパカブラは13日にポコたんを襲撃。大流血に追い込み、遺恨決着戦としてグローブマッチ(3分3R)が緊急決定した。

 チュパカブラを率いて堂々と胸を張り登場したハル女史は「憎きモーホーの血を継承するポコたん、ユーのゆるキャラ生命も今日をもって終わりよ。覚悟なさ~い!」と、1980年代に公道でバイクを自由自在に操ったレディースのように「ピッ、ピーッ!」と笛を鳴らして入場した。

 一方のポコたんは、セコンドとして女子プロレスラー・帯広さやか(33)を同行させた。確か帯広はUMA軍団のお荷物・中年モグラ男のセコンドも務めていたはずだが、女心と秋の空、加えて元川恵美の系列となれば、新生IWAジャパンに対して反旗を翻しても何の不思議もない。というか、それがまっとうな社会人としての判断だ。

 ポコたんのゆるキャラとしての将来を考慮した大会実行委員会は、凄惨さを避けるためグローブマッチルールを採用。本来の競技とかけ離れたルールが採用された場合、想像以上の重圧がのしかかり実力を発揮できないケースが多いことは、東金のミスター対クロアチアの英雄戦を例に出すまでもない。

 開始早々は様子を見合っていた両雄…いや両獣だが、チュパカブラが放ったハンマーパンチでポコたんの頭部が取れてしまうアクシデントが起きる。そこには男色ディーノのラバーマスクが…。ディーノを毛嫌いするハル女史は「キーッ。そんなモーホーはサッサと片づけなさ~い!」と取り乱す。太陽が西から東に沈んでも冷静沈着だったハル女史には、あり得なかった表情だ。

 ポコたんはこのハプニングでペースを握ると、最後は強烈な右ストレートで勝利。完全に寝返った帯広が「勝利を祝してオープニングコールをやりたいけど、いつものポコたんと違うんじゃないかな?」とラバーマスクを外すと、そこには高梨と同期で育ちのよいことでは定評のある柿本大地(35)の姿が…。高梨は感無量の表情で同期の柿本と主催興行のオープニングを宣言した。

 なお、メインの一騎打ちは高梨がタカタニックでディーノから3カウントを奪い、主催興行を締めくくった。

 高梨の勝利を見届けたハル女史は赤いメガネの縁を持ち上げると「トゥデイはミスター高梨の顔に免じて、UMA軍団は引き揚げますわ。負けは負けです。でもこのままじゃ終わりません。憎きモーホー、待ってらっしゃい。ユーを潰すためにまた新たなUMAを復活させるわ! そしてミスター浅野、ユーの頭上にも…」と不気味に宣言すると、すっかり気の抜けたチュパカブラを置き去りにして、軍団の聖地・荒川土手へと帰った。

 一方、そのころ、IWAジャパンの創設者・浅野起州前社長(66)は、新宿ピカデリーで天下のユニバーサル・ミュージックが手がけたエルトン・ジョン(72)の半生を描いた話題の大傑作映画「ロケットマン」を見て、ワンワン号泣していた。

 その後、経営する新宿2丁目の定食屋「花膳」のカウンター内で皿洗いに励みつつ、有線から流れるデビット・ボウイの名曲「スペース・オディティ」に鼻歌を合わせると「やっぱりエルトンの声は艶があるわねえ…」と歴史を覆すようなトンチンカンな言葉を吐きつつ、2丁目の上空で鮮やかな弧を描いて飛来した謎のロケットについては、全く気づかずにいた。