DDTのシングルトーナメント「KING OF DDT 2019」は19日、東京・後楽園ホールで決勝戦が行われ、竹下幸之介(23)が高尾蒼馬(30)を撃破して初優勝した。これで7月15日の東京・大田区総合体育館大会でのKO―D無差別級王座挑戦が決定。日々進化を続ける若きエースは、その“証し”として新たな目標を抱いている。

 竹下が底力を発揮した一日だった。まずは準決勝で樋口和貞(30)と対戦すると、生涯初の鼻血を流しながらもラリアートで肉弾戦を制した。そして迎えた高尾との決勝戦。ジャンピングハイキック、雪崩式脳天砕き、今大会で初公開したカバージョ2020(スリーパー式ラクダ固め)などで猛攻を仕掛けた。

 一方の高尾は、所属する悪のユニット「ダムネーション」の介入を拒否し、真っ向勝負。お互いに一歩も譲らない。最後も壮絶だった。高尾の雪崩式ジントニックをカナディアンデストロイヤーで返した竹下は、顔面へのヒザ、ラリアートから必殺のファブル(スワンダイブ式スワントーンボム)で沈め「新時代が俺を選んだ。もう一度ベルトを取ってDDTの、竹下幸之介の時代を見せます」と絶叫した。

 今年2月17日の両国大会で戴冠した際に公約を掲げながら、4月4日米ニューヨーク大会で陥落した。それでも「一時的に預けただけ。対他団体、地方防衛戦の公約は忘れていない」と語るや「DDTのトーナメントとリーグ戦(昨年12月のD王グランプリ)を制覇したし、外でもDDTが最強だと証明したいです」と胸中を明かした。

 最古の歴史を誇る全日本プロレスの「チャンピオン・カーニバル」、業界の盟主・新日本プロレス「G1クライマックス」、そしてノアの「N―1 VICTORY」…視野に入れるのは他団体のリーグ戦参戦だろう。「毎日、どの会場でもベストバウトを心がけていればチャンスは転がってくる。まずは大田区。新たな時代のメインは僕が張っていきます」。若きエースが再び未到達の領域を目指す。