全日本プロレスの3冠ヘビー級選手権(2日、東京・後楽園ホール)は王者のジョー・ドーリング(35)がゼウス(35)の挑戦を退け、2度目の防衛に成功した。1年前、悪性脳腫瘍から奇跡の復帰を果たした大会に、王者として立つに至ったドーリング。早くも次なる挑戦者も現れ、2018年の全日マットをけん引する覚悟を決めた。

 試合終了を告げる3カウントゴングが鳴らされると、ドーリングは静かに笑みを浮かべた。その直後、両手を挙げて雄たけびをあげると「ハッピーニューイヤー!」と絶叫。観衆とともに新年の始まりと、ベルトを死守した喜びを分かち合った。

「タフな試合だった」と振り返るようにパワーファイター同士の一戦は、予想以上に苦しい展開となった。序盤から意地で相手のチョップ、ショルダータックルを真正面で受け続けた結果、目に見えないダメージが蓄積していった。

 それでも15分過ぎにフライングボディーアタックを成功させると、ここから一気に勝負に出た。最後は右の拳を突き出すと、この試合3発目のレボリューションボムを成功させて勝利した。

 1年前を振り返れば、奇跡の光景だった。悪性脳腫瘍により一時は生死の境をさまよいながらも、約1年5か月ぶりにリング復帰を果たしたのが昨年1・2後楽園大会。当時、わずか1年後に3冠王者としてタイトル戦の舞台に立つ姿など誰が想像できたことだろう。

 もちろん、ここが最終ゴールではない。試合後にはKAI(34)が登場。英語で「俺のホームタウンの横浜で、3冠王座に挑戦したい」と決戦場所を2月3日横浜文化体育館大会に指定し、挑戦状を突きつけてきた。

 王者も逃げるつもりはない。「暴走機関車はもう誰にも止められない。KAIはこのベルトの重みと俺のパワーを知ることになるだろう」と豪語し、決定的となった約1か月後のV3戦に目を向けた。宮原健斗(28)、諏訪魔(41)、石川修司(42)と並んだ昨年の「4強時代」から昨年から、18年の全日マットは「1強時代」に突入しそうだ。