全日本プロレス9日の後楽園ホール大会で3冠ヘビー級王座に初挑戦する元WWE戦士のヨシタツ(40)が7日、現状打破を誓った。ファンだけでなく選手からも猛反発を受ける状況下で、王者のジョー・ドーリング(35)からベルトを奪うことで風向きを変えるという。「四面楚歌」のヨシタツを後押しするのは、常に賛否両論を起こした邪道・大仁田厚(60)の存在だった。

 3冠挑戦を2日後に控えたこの日、ヨシタツは意外なほど落ち着いた表情を見せていた。「答えは分かっている。どうすれば皆さんの支持を得られるのか。大きいことを言っても、それ相応のパフォーマンスがついてきて、プラス結果を残せればファンの人は文句を言わない」と自分自身に言い聞かせるように言葉を発した。

 取り巻く状況はあまりに厳しい。首の負傷(第2頸椎粉砕骨折)による約1年半の長期欠場から昨年4月に新日マットで復帰したが、体が思うように動かずファンの支持を得られなかった。さらに9月から参戦している全日マットでは、今回の3冠挑戦に疑問の声が渦巻いていた。5日の名古屋大会で秋山準(48)に勝利したことで「全日本の選手の俺を見る目が変わった。普通に考えて面白くないですよね」と感じるのも事実だった。

 だが今のヨシタツは迷いを吹っ切っている。10月29日には、2日後に引退試合を控えた大仁田の電流爆破デスマッチ(名古屋)に初出場。邪道と会話をかわす中で「結局、話題を起こした人の勝ち。一番怖いのは反応がないことで、無反応より『否』のほうがいい。否定するということは興味があるということ。持って行き方次第では『否』の人が『賛』になるし、その熱量はすごいことになる」という趣旨の言葉をもらい、背中を押されたからだ。もう前を向くしか道はなかった。

 地元凱旋となったこの日の岐阜大会では6人タッグ戦で諏訪魔(40)と激しくやり合うと、最後は青木篤志(40)を岩石弾で仕留めた。「この気持ちのまま、3冠戦に持っていきたい。3冠を取りたくて取りたくて仕方がない。19日(に開幕する世界最強タッグ決定リーグ戦)から、宮原健斗の横に3冠王者として立ちます!」とヨシタツ。「否」から「賛」へ。王座奪取で世界を変えてみせる。