全日本プロレスの3冠ヘビー級選手権(11日、東京・後楽園ホール)は王者の石川修司(41)がジェイク・リー(28)の挑戦を退け、初防衛に成功した。

 王者は老舗団体のトップに立つ決意を示すためにこの日からショートタイツに変更。序盤は同王座初挑戦の若手に火をつけようと、場外マット上にジャーマンで投げ捨てる厳しい攻めを見せた。相手の反撃も落ち着いて対処し、最後はジャイアントスラム(リストクラッチ式五輪スラム)で身長190センチを超える巨人対決を制した。「みんなが悔しい、このベルトが欲しいという思いでぶつかり合えば、最高の戦いができる」(石川)

 インディ出身でキャリア14年ながら、すでに3冠王者にふさわしい威風堂々とした態度だった。きっかけは2015年10月のこと。10年間所属したユニオンプロレスが解散になった。「人生の楽しみのほとんどがプロレスだったから、次は見つけられないと思った。マイナスな話になるけど、あの時に“死”をイメージした。雪山で遭難しようかなと。でも生き残ったら、デカイのでイエティになっちゃうなとか」

 何とか現役引退は踏みとどまったが、フリーとして活動するか、アジアの未開国でプロレス伝道師として活動するかで悩んだ。そこまで考えた末に選んだ現在の道だけに、肝が据わっている。

 試合後には前王者・宮原健斗(28)との“次期挑戦者決定戦”を制した諏訪魔(40)から挑戦を表明された。これで7月17日後楽園大会で迎え撃つことが決定的に。「本当に重いベルト。恥ずかしくない戦いをしたい」と誓った巨人は、まだまだ王座を明け渡すつもりはない。