全日本プロレスの“未完の大器”ジェイク・リー(28)が7日、初の3冠ヘビー級王座挑戦にかける思いを激白した。一度は現役を引退して総合格闘技に挑戦、そして復帰という紆余曲折を経て、11日後楽園ホール大会で王者の石川修司(41)に挑戦する。秋山準社長(47)もイチ押しの大器は気合十分で、勝利を約束した大物アーティストにベルトを届ける覚悟だ。

「意気込むこともなく普段通りだったけど(3冠戦が)近づくにつれて違う意識が芽生えてきた。『俺に団体を背負う覚悟はあるのか?』という考えが頭をよぎった時、体がゾクッとした」。決戦を4日後に控えたこの日、団体から流出したベルト奪還に臨む挑戦者は押し迫る緊張感を楽しむ余裕があった。

 ようやくたどりついた大舞台だ。北海道・北見市出身でもともとK―1やPRIDEなどの格闘技に憧れがあった。高校、大学時代は重量挙げの選手として活躍。身長192センチの恵まれた体格から周囲の勧めで全日本に入団し、2011年8月にデビューを果たす。だが、わずか2か月後の10月に現役引退を発表するに至った。「自分の心が追いつかなかった」

 その後は札幌市内で整体師、スポーツトレーナーとして働きながら元UWFインターの山本喧一氏(40)が主宰するジムで格闘技の練習を積み、アマチュア大会にも出場した。ところが「このままだと後悔すると思ったし、育ててくれた全日本に恩返ししたい」という決意から再びプロレスのリングに戻り、15年6月4日に再デビューを果たした。

 受け入れた秋山社長は「やる気を感じたし、何よりハートが強く、体もあった」と振り返る。将来性を高く評価しているからこそ、異例の再入団を認めた。それだけに期待は大きく「挑戦で終わるのではなくベルトを取り返せ。これは至上命令」(秋山社長)とハッパをかけた。

 昨年からは知人の紹介で歌手・大黒摩季(47)のボディーメークトレーナーを務めている。2日には都内でコンサートを開催した大黒に3冠挑戦を報告した。「もちろんリーくんが勝ってくれるよね?」とゲキを飛ばされると「やってやりますよ!」と力強く約束した。大黒からは「そのぐらいのイキでやらないとね!」と送り出されたという。

 この日の新木場大会では同門の青柳優馬(21)を岩石弾で沈めると「俺が3冠を全日本に取り戻す!」と誓ったリー。大器が初戴冠へ一直線だ。