負傷欠場中の全日本プロレス・諏訪魔(40)が19日、邪道・大仁田厚(59)との決着戦に強行出場することを決めた。12日の大阪大会で負傷(右手第2、3、4中手骨不全骨折)し、21日の後楽園ホール大会までシリーズ全休となったが、自身が率いる暴走ユニット「エボリューション」興行(28日、神奈川・茅ヶ崎市体育館)のリングには立ち、因縁の男に引導を渡す覚悟だ。

 この日、欠場中の諏訪魔は茅ヶ崎漁港にいた。同ユニットの青木篤志(39)と佐藤光留(36)から呼び出されたのだが、その表情は冴えない。昨年の右アキレス腱完全断裂に続く負傷により、シリーズを棒に振ってしまったからだ。

 2人に促されるように渡船「えぼし丸」に乗り込むと、3人が到着したのは沖合1・4キロにある岩礁群「えぼし岩」だった。国民的人気バンド「サザンオールスターズ」の歌詞にも出てくる茅ヶ崎のシンボルだ。東に江の島、西に富士山を望む絶景にしばし目を奪われた諏訪魔は、何か吹っ切れた様子だった。

 さらに「今日は青木と佐藤に励まされた。こうなったらやるしかないな。どんな状況であれ、3人で出撃する」と力強く表明。28日の茅ヶ崎大会では暴走軍(諏訪魔、青木、佐藤)VS邪道軍(大仁田、保坂秀樹、雷神矢口)の6人タッグ戦が発表されたが、諏訪魔の負傷により宙に浮いていた。だがこれにより、予定通り軍団決着戦が行われることが確実になった。

 ただしギプスをはめた右手にはまだ腫れがあり、痛みも治まっていない。それでも「厄年だから試練と受け止めてる。俺には左のラリアートだってあるし、いろいろ戦い方はある」と豪語した。

 生気がよみがえったボスの姿を見て青木が「邪道軍ならこっちがハンディをつけるくらいでちょうどいい」と言えば、佐藤も「万全の状態の諏訪魔さんがラストライドをやったら事故が起こってた。ギプスに有刺鉄線を巻いて電流爆破ギプスにすればいい。ところで、UFOは存在するか? ネッシーはいるか? 大仁田厚は引退するか?は3つの謎だ」と続いた。

 頼もしい2人の言葉を聞いて「大仁田が(10月31日に後楽園ホールで)引退試合を迎える前に引退させる」と気を引き締めた諏訪魔。結束を高めた3人は目の前に広がる大海原を見つめた。