全日本プロレス春の祭典「チャンピオン・カーニバル」は30日の博多大会で優勝決定戦が行われ、インディの巨人こと石川修司(41)が初優勝を決めた。

 まさに「日米怪獣決戦」だった。決勝の相手はジョー・ドーリング(35)。ともに身長195センチで、体重は石川の130キロに対しジョーは135キロ。迫力満点の攻防が続いた後、15分過ぎにハイライトが訪れた。石川はランニングニーの連打から、3発目となるファイヤーサンダー(リバース式パイルドライバー)で激闘に終止符。初出場初優勝は2011年の永田裕志(49=新日本プロレス)以来の快挙となった。

「最高の舞台で成長できた。レスラー冥利に尽きる」。社会人生活を経てDDTに入門したのが27歳のとき。03年6月15日の横浜大会(対スーパー宇宙パワー)でデビューした。だが当時は「リングに上がれればよかった」と向上心はほとんどなかった。転機は翌年にデビューした“ゴールデンスター”飯伏幸太(34=飯伏プロレス研究所)との出会いだ。

「ルックスもよくてバック宙したんですよ。スターが来たって驚いた」と初対面から驚異の存在で、すぐにメールで「お前が頑張ればDDTは代々木(第一競技場)でやれる」と言葉を送った。ところが返信は「お前も頑張れ」といきなりタメ口…。ここから2人の妙な関係が始まった。7~8年前からは2人で社会人プロレス「OPG」の道場で練習するようになり、必殺技の大半は飯伏のひらめきで会得した。投げ技の練習のため市民プールを訪れ、係員から厳重注意を受けたこともあったという。

 その飯伏が新日本、米WWE参戦とステップアップする姿を見て、意識が変わった。「あいつは夢を見せている。成り上がっていきたい気持ちが芽生えたのは彼のおかげ」。試合後は宮原健斗(28)が持つ3冠ヘビー級王座挑戦を表明し、5月21日後楽園大会での挑戦が確実になった。

「インディの一選手だった自分がメジャーのタイトルを取るところを見てほしい」。巨人の大きな夢はまだまだ終わらない。