全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・諏訪魔(44)が伝統のベルトに新たな歴史を刻む。23日の後楽園大会では佐藤耕平(43)を退け、V6に成功。全日本は5月16日に今年最初のビッグマッチを東京・大田区総合体育館で開催するが、王者は32年前に3冠王座が誕生した記念すべき会場で、一本化された現在のベルトを再び3本に“解体”する構えだ。

 耕平の重い打撃に苦しめられた諏訪魔は、KO寸前まで追い込まれた。しかし岩石落としで逆転すると、ラリアート、ドロップキックでたたみかけ、とどめの岩石落とし固めで3カウントを奪った。試合後は天敵のヨシタツ(43)から挑戦を表明され「お前に3連敗してるのは俺の汚点。3冠をかけて払拭してやる」と受諾した。

 これで自身最多となる6度目の防衛に成功。昨年3月の王座奪取時に目標とした1年間の王座保持も視界に入ったが、諏訪魔は「いや、ここからだ!」と気合十分。春の祭典「チャンピオン・カーニバル」(4月9日、大阪で開幕)出場が発表された上、5月の大田区大会が決まったからだ。

 団体にとって同会場は縁が深い。1989年4月18日にジャンボ鶴田がインターナショナルヘビー、PWFヘビー、UNヘビーを統一して初代3冠王者になった。また諏訪魔自身も「いろいろ思い出があるよ。潮崎(豪)とのタイトル戦とか」と振り返る2013年8月25日大会では3冠王座を防衛し、この試合を最後に3本のベルトが1本化された。あれから8年を迎えるにあたり、新たな目標が芽生えた。「ベルトを新調してさ、もう一度3本にしたい」

 きっかけは4日に出場した「ジャイアント馬場23回忌追善興行」(後楽園)だ。82年2月4日に馬場がスタン・ハンセンと死闘を繰り広げたPWF王座戦の試合映像が会場で流され、諏訪魔も見入った。「あの時、昔のベルトの名をきちんと現代に刻まないといけないと思った。そのためにもう一度、インター、PWF、UNの3つに分ける。もちろん俺の一存では決められないから、会社や馬場家の方々にも理解を求めたい」と訴える。

 72年に旗揚げした全日本は今回の大田区大会を「三冠統一の地から50周年への飛翔」と銘打つ。新調された3本のベルト誕生となれば、来年の50周年イヤー幕開けにもふさわしい。果たして暴走男の願いは届くか。