ここから巻き返せるか。佳境に入った全日本プロレス暮れの祭典「世界最強タッグ決定リーグ戦」で、3冠ヘビー級王者の宮原健斗(30)が苦しんでいる。青柳優馬(24)とのコンビで出場中だが、成績不振が原因で得意のトークに影響が出ていることが発覚した。

 いつもはクールな男が、焦燥感を漂わせた。苦手とされたタッグ戦線に強い決意をもって臨んだ宮原だったが、早くも4敗を数え、苦戦が続いている。崖っ縁で迎えた大阪大会(1日)ではジョー・ドーリング(37)、秋山準(50)組と対戦。意地のシャットダウンスープレックスホールドでジョーを沈めて何とか踏みとどまった。しかし試合後の歯車がかみ合わない。マイクで「誰の優勝が見たいですか?」と問いかけるも、観客の声は「秋山」「諏訪魔」「ジョー」と分かれ、強引に「満場一致で宮原健斗です!」とまとめるなど、切れ味がイマイチだった。

 これは3冠王者自身も感じていることで「なんか最近、言葉が博多弁のイントネーションになってるらしいんです。自分では意識してないんですけど、よく指摘されて…」という。福岡で生まれ育っただけに無理はないにせよ「日本が僕のホーム」と自負する男にとっては大問題。美しい標準語にこだわっているからだ。

 その理由も単純明快だ。「最強タッグに入って、ほとんど公の場でしゃべらなかったから、昔の癖が復活しちゃったと思うんですよ。なかなか勝てなくて(マイクの)締めをほとんどできてないですから」と分析。ならば“治療法”はただ一つ。勝ってマイクアピールの機会を増やすしかない。「言葉を直すためにも、逆転のためにも勝つ。優勝しかないけん」。残る2戦を連勝しても、他チームの結果次第では優勝決定戦(9日、後楽園ホール)進出の可能性が消滅する厳しい状況に変わりはない。それでもわずかな望みがある限り、最後まで諦めない。