勝利の吉兆だ。全日本プロレスは台風10号が広島に上陸したお盆真っただ中の15日に横浜市内の事務所で会見を行い、24日北海道・美幌町スポーツセンター大会でアジアタッグ王者のジェイク・リー(30)、岩本煌史(29)組が佐藤光留(39)、岡田佑介(26)組と初防衛戦を行うことを発表した。6月3日に死去した世界ジュニア王者の故青木篤志さん(享年41)の盟友だった佐藤は、故人の仕業としか思えない“心霊現象”に悩まされていることを明かし、王座奪還を確信した。

 青木さんとのコンビで過去2回同王座を獲得している佐藤は「王者は常時平均80%の力を出すチーム。だけど俺と岡田は0%か120%。当たれば場外ホームランだ。お前ら覚悟してな。シベリアまでかっ飛ばしてやるせ」と、26歳の新パートナーを横に王座奪還を誓った。そして直後に意外な事実を明かした。

「人の魂は亡くなってから四十九日までこの世にいるとはよく言いますが、とんでもない。青木さんまだ近くにいますよ。あの人のイタズラとしか思えない心霊現象に悩まされているんです…」と“変態王”の異名とは真逆の表情で語った。

 ざっくり説明しよう。まず青木さんが亡くなった直後から、自宅で飼っている愛猫の態度が一変した。「家に帰るとダッシュしてきて、僕にじゃれていたのに、あの日を機に道路を挟んだ軒下から僕を威かくするようになったんです。ああ…」

 地方大会では会場から控室にエレベーターを利用するたびに、押した階数ではなく屋上に止まるようになった。階段を使えというメッセージなのだろうか。さらには青木さんが亡くなる直前に某有名通販サイトで注文した品が先週になって主なき部屋へ届き、回り回って佐藤の手に渡ったという。

「この世に未練があるとかではない。楽しんでいるんですよ、僕が困っているのを見て。だけど『お前、いつ何時でも気を抜くなよ』というアドバイスなのかなとも思えます」

 実はこの取材中も誰も座っていないイスが、一瞬だけカタカタ鳴って何事もなかったのように止まった。「フフフ…そのへんにいるな」(本紙記者)、「いますね」(佐藤)というやりとりも、決してお盆だからではない。

 くしくもアジアのベルトは美幌大会を機に新調され、この日お披露目された。佐藤は「僕らがチャンピオンになれば、新しいベルトには青木さんが永遠に宿ってくれるんじゃないかな」とようやく最後に泣かせる言葉を吐いた。

 岡田とは7月のジュニアタッグリーグ戦を制しており、万全の状態で王座奪取に臨む。佐藤は「青木さん、僕は分かってます。どうせ毎日、東スポ読んでるんでしょ。この記事を見たら、もっと笑える心霊現象起こしてください!」と故人を妙な表現で挑発すると、かつては愛猫が出迎えてくれた自宅へ、風のように消えた。

 一方、挑戦者組の岡田は「イケメンのジェイク選手に黄色い声援が飛ぶと、ジェラシーを感じる。王座戦では顔を変えてやる」と通告。受けた王者のジェイクは堂々と「僕は北海道出身なので、美幌大会は思い入れがあると思われる方も多いでしょうが、場所は関係ありません。今、一番強いジュニアのタッグチームを相手に防衛戦が決まってワクワクしています。新しいベルトは僕らの色に染め上げたい」とV1を宣言した。

 また秋の大一番「王道トーナメント」(9月14日新潟・三条で開幕。同23日名古屋で優勝決定戦)の日程も発表された。