全日本プロレス20日の東京・後楽園ホール大会で3冠ヘビー級王者の宮原健斗(30)が“大巨人”こと石川修司(43)の挑戦を退け、V4に成功した。激闘となった令和最初の3冠戦を予告通りの新技「石川殺し」を駆使して制圧。原動力は、11年前に「ルチャの聖地」で誓った“あの約束”だ。

 序盤からお互いの意地が交錯した。宮原が頭突きでペースを握ろうとするが、ダイビングフットスタンプなど巨体を生かした腹部への集中攻撃で石川に反撃される。中盤には重い打撃で追い込まれ「宮原殺し2019」(変型スープレックス)の体勢に入られるも、これを巧みに体を回転させながらヒザ蹴りを放つ新技「石川殺し」で迎撃。目まぐるしく攻守が入れ替わり、会場は悲鳴と歓声がこだました。

 最後は圧巻だ。ブラックアウト(ヒザ蹴り)で石川の動きを止め、必殺のシャットダウンスープレックスホールドで3カウントを奪取。「俺は常に過去に執着せず、未来を恐れず、今を生きてるんだ!」とナルシシズム全開のマイクアピールを放った。

 王座防衛は責務だった。25日(日本時間26日)にはメキシコ・アレナメヒコで開催される「ドラゴマニア14」でメインの6人タッグ戦に出場するからだ。初めてリングに上がるルチャの総本山には特別な思いがある。2008年のこと。当時、健介オフィス所属だった宮原は1か月のプロレス留学で初めてメキシコに渡り、ウルティモ・ドラゴンの指導を受けた。一度だけ、セコンドとして同会場を訪れた時のことは今でも忘れない。

「よく覚えてる。お客さんがみんな楽しんでいた。たくさん露店が出て、マスクも売っていてお祭りだった。その時に『自分もこのリングに上がりたい。日本でチャンピオンになって、ベルトを巻いてこのリングに上がるぞ』って決めた」

 次の防衛戦は6月以降になる予定で、V4成功により、ついに夢がかなう日がやってきた。「令和の全日本のエースとしてやるべきことは分かっている。期待に120%、応えるから」。さらなる高みを目指し、走り続ける。