全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・宮原健斗(29)が19日、V2へ不退転の決意を固めた。宮原は前日(18日)の横浜大会で諏訪魔(42)にまさかのフォールを奪われ、2・24横浜文化体育館大会でのV2戦が確実になった。実はこの、さらに前日(17日)にも「ある事件」で甚大な精神的ショックを受けている。後がない状態から、若き3冠王者が反撃をスタートさせる。

 諏訪魔に3カウントを奪われた直後は、半失神のまま無言で控室へ消えた。しかし宮原はすでに17日から「一切の情報をシャットアウトしました。精神的にかなり落ち込んでいたので…」と明かす。舞台は東京スポーツ新聞社制定「2018年度プロレス大賞」授賞式だ。

 式にはMVPに輝いた新日本プロレスのIWGPヘビー級王者・棚橋弘至(42)、初の敢闘賞を獲得したノアの史上最年少GHCヘビー級王者・清宮海斗(22)らが出席。宮原は選考会で決選投票の末、ノアの丸藤正道(39)に敗れて殊勲賞を逃しており、メジャー3団体のヘビー級王者では、唯一無冠に終わった。希代のナルシシストにとってこれ以上の屈辱はない。

「自分の幼稚な部分はまだ落ち込んでるけど、事実として受け入れる。これで今年のMVPはマストになった。期せずして不退転の立場に追い込まれたわけです。V2? いやいや、僕は今年から来年にかけて最多防衛記録(川田利明のV10)を更新するので。V11までの道しるべとして無敗のままMVPをいただきます!」

 実は3冠ヘビー級王者のMVPは、2008年の武藤敬司を最後に10年も途絶えている。それ以前も鈴木みのる(06年)、小島聡(05年)といずれも新日本プロレス出身者ばかり。純粋な全日本育ちの3冠&MVPとなると故三沢光晴さん(享年46)や鉄人・小橋建太、記録保持者の川田らが支えた1990年代までさかのぼらねばならない。

 宮原も健介オフィス出身だが、08年2月のデビュー戦の相手は当時全日本の真田聖也。13年から王道マットに参戦し、14年に正式入団した。「本格的にヘビー級戦線で戦うようになったのは全日本ですし、準生え抜きという自覚もあるので」と宮原は目を輝かせた。

 しかも新記録のV11を達成すれば通算防衛回数でも、三沢さんと並び史上最多タイの「21」となる。新日本出身選手に彩られた「空白の10年」を埋め、90年代の黄金期から現在まで、王道イズムを直結させることも可能なのだ。

「悔しさMAX状態となった全日本プロレスの3冠ヘビー級王者、宮原健斗が2019年のMVPに先行予約を入れますから!」と“満場一致で最高の男”を目指し、屈辱をバネに未踏の領域に突入する。