これで本当に終わりなのか。全日本プロレスの暴走男・諏訪魔(41)が10日、遺恨が残っていた野獣・藤田和之(47)との再戦を無期限で凍結させることを決めた。早期リベンジを訴えていたが一転、春の祭典「チャンピオン・カーニバル」を終えて、新たな外敵勢を標的としたため。一方、そもそも勝ち逃げを宣言していた藤田はすでに諏訪魔など眼中にない様子で、約10年ぶりとなる総合格闘技(MMA)戦での勝利を目指して中国へ出発した。

 突然の変心だった。諏訪魔は藤田との再戦について「もう賞味期限切れだろうなって。周りから求められていないのが分かるしさ。絡んで、振り回された感がある」と心境を明かした。

 3月25日さいたま大会の6人タッグ戦では、約2年4か月ぶりの対戦が実現した。ところが自軍が敗れた果てに、試合後は口の中にカマボコを突っ込まれる屈辱の“カマボコ葬”に処された。その後はリマッチを要求し続けていたが、180度方向を転換したことになる。

 理由はカーニバルにある。Bブロック最終公式戦で敗退し、丸藤正道(38=ノア)に初優勝をさらわれる結果に終わる一方で、大きな収穫があった。

「外敵で興味を引かれるヤツがたくさんいた。これを火種にしたら、面白くなるんじゃないかなって。それに(Aブロックの)石川修司も俺に意地を張り、すごい試合をしていた。今年になって暴走大巨人は散々だったから、もう一度タイトルを狙うよ」

 カーニバル参戦選手が所属するノアやドラゴンゲート、フリーの外敵勢を新たな標的に定めた格好だ。さらに2月3日の横浜大会で王座から陥落後は、王者が次々と交代して、外部に流出してしまった世界タッグ王座(現王者は崔領二、ディラン・ジェイムス組)を石川とのコンビ・暴走大巨人で取り返しにいく決意を固めている。

 暴走大巨人の存在感が薄れたのは、3月の藤田戦が浮上してからだった。ここでひと区切りつけることで、名コンビが再始動する。「機運が高まれば、またいつの日か交わる時が来るかもな。まっ、俺はプロレスでメチャメチャやるから、藤田和之は総合格闘技でメチャメチャやればいいんじゃない」。2015年春から続いた2人の遺恨は、完全決着を待たずしてひとまずの終焉を迎えそうだ。