返礼は電流爆破じゃ~! 佐賀県神埼市長選(4月8日告示、同15日投開票)に出馬表明している元プロレスラーの大仁田厚氏(60)が仰天公約をブチ上げた。神埼市は周辺自治体に比べ、ふるさと納税が伸び悩んでいる。そこで先日、九州スポーツ下関編集局を訪れた大仁田氏は「もし当選したら、ふるさと納税の返礼に『市長電流爆破』のプレミアムチケットを付ける」と激白。納税額アップのため、文字通り一肌脱ぐつもりだ。

「ふるさと納税の返礼品として俺が電流爆破をやるプレミアチケットを付けようっていうわけ。俺はもうプロレスラーじゃないけど、社会人レスラー、社会に貢献する社会貢献レスラーだから」

 大仁田氏の口から驚くべき公約が語られた。電流爆破といえば自身の代名詞といってもいい。ハードコアなスタイルでプロレス界に風穴を開けたレジェンドだ。プロレス引退でもう電流爆破にはかかわらないのかと思われていたが、地方行政に風穴を開けるため、解禁することを決意した。
 ここまでの決心に至ったのは、神埼市の現状に理由がある。神埼市は佐賀市から車で約15分、福岡・博多へは約50分と都市圏へのアクセスがいい。しかし、周辺自治体に比べると盛り上がりに欠けているという。
「近隣のみやき町や上峰町はふるさと納税で億単位の寄付がある。一方、神埼市はまったく太刀打ちできていない。神崎だけがドーンと下がっている」

 それぞれの自治体ホームページにふるさと納税の実績が公表されている。それらによると、みやき町の2016年度の寄付者は約4万5000件で約15億円、上峰町の同年度の寄付者は約27万件で約46億円。神埼市は同年度の寄付者731件で約2500万円と両町とかなり隔たりがある。

 みやき町は返礼品に佐賀牛やお米を用意。iPadなど家電も話題になった。上峰町でも佐賀牛が返礼品として人気が高い。昨今は豪華すぎる返礼品に総務省から注文を付けられるなど、問題視する流れがあるが、自治体の努力のたまものであることは誰も否定できない。

 そこで大仁田氏は自分だからこそできる電流爆破を返礼品として用意し、神埼のPRに生かすというのだ。

「本当にやりますよ。電流爆破にプラスして名産のアスパラとかいちごも付ける。世界中で俺にしかできない。ふるさと納税で100億円目指します!」

 電流爆破のインパクトは佐賀、いや、日本にとどまらない。海を越えることは間違いない。最近、海外のメディアが大仁田氏の取材に来たという。「インタビューで『メイヤーエクスプロージョン(市長電流爆破)』と言ったら外国の記者も笑ってたからね。『取材に来ます』って。たくさんメディアが集まるから、経済効果も期待できますよ」と胸を張る。

“大仁田厚”という看板を最大限に使って、神埼を盛り上げるトップセールスマンになるつもりだ。

「いわゆる政治家にはなりたくない。神埼株式会社の社長になって神埼を全国に売り込んでいきたい。街づくりばやってみたかとですよ。神埼は立地がいいのにもったいなかねと思っていて」

 地元の特産品が返礼品になることは数あれど、首長自らが返礼品になるのは稀有な例。母親の生まれ故郷への熱い思いと、大仁田氏が人生をささげたプロレスが融合し、「市長電流爆破」のアイデアが生まれた。もちろん当選しないことには絵に描いたモチ。まずは目の前の選挙に集中だ。

◇アパート暮らしで街頭に立つ日々=神埼市長選には大仁田氏以外に、現職の松本茂幸氏(67)が出馬の意思を示している。新人の大仁田氏と4期目を目指す松本氏の一騎打ちになりそうだ。

 大仁田氏が訴えるのはふるさと納税促進のほかに、ハコモノ行政見直しが大きな柱。日々、街頭に立って、出馬していることをまず知ってもらうところから始めている。

 ヨソモノとの批判は避けられないだろうが、すでに神埼市内に居を構え、「マンションを売って、今は市内でアパート暮らしです」と地に足をつけつつある。「8年前の市長選では約200票差だった。市民の半分は悔しいと思っている。そこにどれだけアピールするかでしょう」

 現職有利になりがちな首長選挙で、いかに存在感を示していくかが重要。地元選出の原口一博衆院議員(58)がバックアップしているとはいうものの、本人の発信力がカギになる。

☆おおにた・あつし=1957年10月25日生まれ、長崎市出身。ジャイアント馬場に憧れて全日本プロレスに入門。74年4月にデビュー。89年にFMWを旗揚げ。40歳で高校入学し、その後は明治大学政治経済学部を卒業。2001年に参議院議員となり1期6年を務める。いじめ問題に取り組み、プロレスラーとしてもいじめ撲滅を掲げ、全国の市町村を回る。「邪道」「カリスマ」との異名を取り、決めセリフは「ファイヤー!」。プロレスは昨年10月に7度目の引退をしている。