性悪王が丸坊主になった。NEVER無差別級選手権は挑戦者の後藤洋央紀(38)が王者の鈴木みのる(49)を破り、第17代王者に輝いた。

 後藤からバリカンを奪い取ったみのるは、自ら後頭部の“トサカヘア”を剃り落とした。ベルトを肩にかけた新王者はその姿を見ながら静かにうなずく。「潔かった。それが真の格闘家、スポーツマンとしての姿。俺の知ってる昔の鈴木みのるを見られた気がした」

 ようやくこぎ着けたリベンジの場だった。約8か月前にベルトを奪われた怨敵に挑戦を受諾させたのは昨年末のこと。しかもトレードマークの長髪をかけることを申し出た結果で「敗者髪切り」「ノーセコンド」のデスマッチ形式で行われた。

 リスクを背負ってリングに立ったものの、待っていたのはピンチの連続だった。コーナー上のみのるに裸絞めを決められ“絞殺刑”のような状態にされた末、まさかの失神。その後もスリーパー地獄に苦しみ、ルールを無視した鈴木軍の介入もあった。それでも15分過ぎに雪崩式の牛殺しを決めると反撃へ。最後は裏GTRから正調のGTRで勝利した。

 振り返れば1年前の東京ドームで奪取したのがこのベルトだった。「無差別級のこのベルトの価値を高めたいと思う」と誓った荒武者が、新たな王者像をつくり上げる。