“邪道”大仁田厚(59)の引退試合の相手に指名された“野獣”藤田和之(46)が4日、まさかの「ノー」を突き付けた。本紙で復帰を宣言した際には「決着をつけたい相手」の一人として名前を挙げていただけに、この指名は願ったりかなったりだったはず。それがなぜ態度を急変させたのか。事態はやっぱり面倒なことになってきた。

「参った。いったいどうしたらいいんだ…」。4日、千葉・外房に本紙を呼び出した野獣は、こうつぶやきながら頭を抱えた。

 発端は3日付本紙プロレス面で大仁田が「藤田選手の代理人から連絡をもらった。これで最後の相手に決定だな」と10月に予定される引退試合について明言したこと。藤田自身も「決着をつけたい相手」として名前を挙げていただけに自然な流れのはずだった。

 しかし「あれはここ数年で関わった選手の一人ということで名前を出しただけだ」とまさかの言葉。続けて藤田は「そもそも俺のところに何も話が来ていない。なのに勝手に名前を出しやがって。その代理人ってのも誰なんだ? もしかしてサイモン(IGF取締役)が勝手に何かしてるのか?」と怒りに声を震わせた。勝手に野獣の代理人を名乗る勇気があるのは、あの“希代のヘソ曲がり男”しかいない気もするが…。

 ここまで激怒する理由は明確だ。「物には順番がある。まず俺は『あいさつ』をしなきゃいけないんだ。『あいさつを何よりも大事にする方』がいらっしゃるから、それが最優先」と師匠であるアントニオ猪木氏(74=参議院議員)へのあいさつを終えてから、本格始動しようとしていたという。

 ところがそのあいさつ前に大仁田が藤田を指名してしまったことで事態はややこしくなった。藤田は「今、あの方はいろいろ忙しい時期だから、落ち着いたらあいさつに行く予定だったんだ…。でもこれでキャンセルになってしまうかもしれない。そもそもあの方は(大仁田が)一番嫌いなんだから。あいさつができなくなったら復帰は赤信号だ!」と鬼のような形相で訴えた。

 復帰白紙まで言及した藤田は「そもそも大仁田とやるつもりなんてなかったけど、これで完全になくなった。あのバカヤロー、完全拒否、完全否定だ!」と声を荒らげた。覆面、いや、ベールに包まれたままの代理人の正体も含め、混乱は深まる一方となってきた。