13日の超花火プロレス神戸大会(兵庫・神戸常盤アリーナ)で行われたノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチは、邪道・大仁田厚(59)が女子プロレス界のカリスマ・長与千種(52)に激勝した。試合後は女子の後継者に長与を正式認定し、新設される女子王座「爆女王」の成功を祈った大仁田。当初は反対していた女子の爆破マッチを後押ししたのは、1週間前の米国遠征で感じた危機感だった。

 運命の決着戦にふさわしい舞台だった。4面爆破(リング4方向を有刺鉄線で囲んだ爆破戦)のリングが用意されたのは2015年9月12日の新潟大会以来、1年11か月ぶり。さらには公認凶器が爆破バット2本という過酷な条件で決戦のゴングが鳴らされた。

 先に仕掛けたのは長与だ。トラースキックを叩き込んで大仁田を被弾させる。この一撃で闘争本能が目覚めた邪道はここから非情になった。組み合った状態で自ら有刺鉄線に飛び込むと、2回連続で“心中爆破”を敢行したのだ。

 大仁田は硝煙に包まれたリングで先に起き上がると、今度はボディーめがけて爆破バットを一閃。KO寸前だった長与の背中にすぐさま追撃の一発を浴びせ、完璧な3カウントを奪った。

 試合後、大仁田は「命の次に大事な電流爆破を継いでください! 爆女王を全力でやってくれ!」と絶叫。すると、この試合限りで爆破マット撤退も視野に入れていた長与は、態度を一変させて「このベルト、ここで巻いてもいいですか!? 爆破を一生懸命受け継ぎます!」と応じたのだ。同王座は「初代王者決定トーナメント」が開催される予定だったが、長与自らが初代女王になることを表明した格好だ。

 しかも大仁田は女子の爆破マッチに消極的だった。だが米国初の電流爆破を成功させた5日(日本時間6日)の米CZW大会で「進化したハードコアを見せつけられた。このままだと日本はまずい…」と、日本のハードコア路線に危機感を感じたという。だからこそ男子は田中将斗、女子は長与に後を託す覚悟を決めたようだ。

「日本も進化させないと。それは(9月24日の名古屋大会で)俺と戦う田中選手もそう」と男女2人の後継者に未来を預けた大仁田。“爆破継承”というテーマを胸に、10月31日後楽園のファイナルマッチまで全力疾走する。