新日本プロレス8日の横浜大会「G1クライマックス」Bブロック公式戦でIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(29)は、NEVER無差別級王者・鈴木みのる(49)と30分時間切れ引き分けに終わった。激闘の代償に貴重な勝ち点1を加え、優勝決定戦(13日、両国国技館)進出をかけてIWGP・USヘビー級王者ケニー・オメガ(33)と最終公式戦(12日、両国)で激突する。2000年の佐々木健介以来、17年ぶりのIWGP王者としてのG1制覇に突き進むオカダの胸中は――。

 唯一の敗戦を喫したEVIL(30)との公式戦(5日、大阪)で受けた場外イス上へのダークネスフォールズ(変型ボム)で首を負傷したオカダは、この日もテーピングを施して出陣。おきて破りのツームストーンパイルドライバー、さらには逆落としと、みのるの猛攻に苦しんだ。

 25分過ぎからは火の出るような張り手の応酬だ。ゴッチ式パイルドライバーを阻止したオカダは終了間際にレインメーカーを炸裂させたが、カバーに行く力は残っていない。その直後、無念にもタイムアップのゴングが鳴らされた。

 激闘で首の不安が深刻化する代償を払ったものの、ケニーとの大一番を前に勝ち点1を追加して単独首位を守った意味は大きい。両雄は今年だけで2度、IWGP戦で激闘を展開。1月4日の東京ドーム大会では46分45秒の壮絶戦の末にオカダが勝利を収め、6月11日の大阪城ホール大会では60分フルタイムドローに終わっている。いずれもG1公式戦の30分を超える長期戦だ。

 今回も大接戦が予想される実力伯仲の相手に対しオカダは「早い仕掛けは必要だなと思います」と決意をのぞかせる。同時に「現時点で1位ですし、負けなければ追いつかれることもないですし。そこで焦るのはケニーじゃないですか。そこは余裕をもって(戦える)」とも明かした。仮に今回も長期戦になったとしても、引き分けが許されないケニーに対し、オカダは最後まで精神的優位に立てるアドバンテージを得たというわけだ。

 一方のAブロック突破争いはIWGPインターコンチネンタル王者・棚橋弘至(40)と内藤哲也(35)の2人に絞られた。オカダは「(みのる、ケニー、棚橋と)チャンピオン3連戦やったほうが面白いんじゃないかなと思いますけどね。分かりやすいですよね」と棚橋との優勝決定戦を熱望。IWGPヘビー級以外の3王者全員と戦い抜いての頂点君臨という野望も口にした。

 厳しいマークに遭いながらも優勝戦に王手。オカダが真夏の祭典で、絶対王者として真の力を証明する。