4日の新日本プロレス愛媛大会「G1クライマックス」Aブロック公式戦で、後藤洋央紀(38)がYOSHI―HASHI(35)から4勝目を挙げ、逆転優勝に望みをつないだ。2008年大会以来9年ぶりのG1制覇へ向け荒武者を突き動かすのは、来年1月4日東京ドーム大会で見据える大野望と、硬膜下血腫で長期欠場中の柴田勝頼(37)に対する熱い思いだ。

 YOSHI―HASHIとのCHAOS同門対決では、相手のカルマ(変型ドライバー)をしのぐとヘッドバットで反撃。裏GTRからGTR(変型首砕き)でたたみ掛け、勝負を決めた。

 上半期はNEVER無差別級王座戦で連敗し、不本意な結果が続いた。G1を制すれば来年1・4東京ドーム大会でのIWGPヘビー級王座挑戦権利証が手に入るが、逆襲に燃える後藤はこの枠に収まらない野望を抱く。ヘビー級の4大王者にG1覇者を加えた5人による“5WAY統一戦”を要求するというのだ。

 かねて王座乱立に否定的で、インターコンチネンタル王者時代にはIWGPとの統一戦を提案したこともあった。「ずっと言ってるじゃないですか。強いヤツは一人。それぞれ(ベルトに)理念はあるんでしょうけど、それすらあいまいになってきてる部分もあるし、単純に一つにまとめてもいいんじゃない?」

 一方で逆転優勝をあきらめない裏には、高校時代の同級生で永遠の盟友・ライバル関係にある柴田への思いがある。柴田は4月から硬膜下血腫による長期欠場中だが、負傷がなければ当然G1にエントリーされたはずだった。

 この日の試合後に「このG1、いろいろな思いを胸に戦ってます」と語った後藤は「(柴田の存在を)背負っているというよりも、エールは送りたいと思っている。俺はこのリングで待っているので」と言葉少なに、秘める胸の内を本紙に明かした。

 2008年にG1初優勝を果たし「この喜びを誰に伝えたいか」と問われ、当時総合格闘技に身を置きプロレスから遠ざかっていた柴田の名を迷うことなく挙げた。9年ぶりのG1制覇を成し遂げることが、再び柴田への“エール代わり”になると信じている。

 柴田からNEVER王座を奪取した1・4ドームから始まった2017年だけに、このままでは終われない。野望と誓いを抱き、荒武者が真夏の祭典の頂点を目指す。