新日本プロレス「G1クライマックス」30日の岐阜大会でBブロック公式戦が行われ、SANADA(29)がマイケル・エルガン(30)を撃破。3勝2敗で白星を先行させた。マット界一の人気ユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)」に所属しながらリーダー・内藤哲也(35)の陰に隠れてきた男は「現状打破の夏にする」と断言。優勝決定戦(8月13日、両国)での直接対決を見据えた。

 相手の底知れぬパワーに苦しみながらも意地を見せた。エルガンボムを阻止すると、必殺のSkull End(変型飛龍裸絞め)で逆襲。すぐさまラウンディングボディープレスで勝負を決めた。試合後はコメントブースに現れなかったものの、上位戦線に踏みとどまる大きな1勝となった。

 昨年4月にLIJに加入。同年のG1開幕戦では棚橋弘至(40)を撃破するなど強烈なインパクトを残したが、獲得したタイトルはNEVER無差別級6人タッグ王座のみ。この状況には「今までにないやり方を覚え、幅が広がったので(LIJに)入って良かった。だけど現状を打破したい気持ちもある」と満足はしていない。

 その理由の一つが内藤の存在だ。絶対的なカリスマの前に2番手、3番手の位置にとどまっている。しかも内藤はデビュー前から意識している存在。2005年11月の新日プロ入門テストではSANADAと内藤、YOSHI―HASHIの3人が受験し、合格したのは内藤だけだった。

 その後、SANADAは全日本プロレスでデビューしながらも、節目の大会で接してきた内藤に「いい意味でのジェラシーがある」と感じていたという。だからこそ「今の状況だとG1じゃないとできない。決勝を目指したい」と対抗ブロックの内藤から呼びかけられた優勝決定戦でのLIJ対決を“責務”と認識している。

 自己改革にも努めている。G1開幕前にはサッカー日本代表FW本田圭佑(31=パチューカ)について書かれた書籍「直撃 本田圭佑」を読破した。「生き方が好き。不器用でも常に自信があって、強気な面とかに影響を受けた」と収穫は大きかった。「(内藤を)追いかけていると対等にはなれない。自分は自分の道を行きたい」と誓ったSANADA。クールな男が、真夏の祭典で飛躍を遂げそうだ。