邪道・大仁田厚(59)が16日、古巣の全日本プロレスに頭を下げた。決定的だった暴走男・諏訪魔(40)との電流爆破デスマッチ(7月16日、横浜市内)が一転、全日本の秋山準社長(47)の猛反対により消滅危機に。これに対して邪道は団体の先輩として“説得工作”に乗り出すと同時に、対戦する諏訪魔には異例のエールを送った。

「秋山社長の反応には正直、驚いたよ。事務所にも『中止なんですか?』って問い合わせが殺到したからね」  大仁田にとって、寝耳に水の出来事だった。2月から抗争を続ける諏訪魔が電流爆破マッチ参戦を表明したことにより、大仁田は7月16日に横浜市内にある屋外会場での開催を決めて、急ピッチで準備に取り掛かっていた。

 ところが、これに秋山社長が「待った」をかけた。理由は爆破戦翌日(同17日)の全日本・後楽園ホール大会で諏訪魔が3冠ヘビー級王者の石川修司(41)に挑戦することが決まったため。暴走男には万全な状態で3冠戦を戦わせたいという配慮からだった。

 この事態に、大仁田は「秋山社長と諏訪魔選手の問題だけど」と言いながらも、黙ってはいられなかった。「俺が付け人を務めた時、ジャイアント馬場さんは毎シリーズのようにタイトル戦をやっていた。だから勇気ある諏訪魔選手の行動をたたえ、認めてやってほしい。大きな器でいてくれることを願う」と秋山社長に要請したのだ。

 さらには、完成したばかりの大会ポスターをお披露目すると「プロレス界に別れを告げる大仁田厚からのお願いだ」と静かにこうべを垂れた。

 事実、馬場さんが3冠ベルトの前身であるPWFヘビー級王座の初代王者として38回の防衛に成功した際、保持した約5年2か月は間断なくタイトル戦が行われた。そういった歴史を持つ王座だからこそ、爆破と3冠戦の連続出場を認めてほしいという。

 邪道は対戦相手の諏訪魔にも「新日本プロレスのようなきれいなチャンピオンじゃなく(電流爆破への出場経験がある)天龍(源一郎)さんのような最強の王者になるのがお前の役目。爆破を乗り越えて3冠王者になってこそ真のエースじゃ」とメッセージを送った。

 邪道流の“懐柔策”は功を奏すのか、それとも――。