木谷会長「辞任」の舞台裏

2013年01月06日 11時00分

 新日本プロレスが大激震に見舞われた。4日の東京ドーム大会もう一つの注目カード、IWGPインターコンチネンタル選手権は中邑真輔(32)が桜庭和志(43)の挑戦を退けV4を達成したが、その裏で衝撃の事実が判明した。何と桜庭のセコンドについていた木谷高明会長(52)が同職を電撃辞任することになったのだ。団体トップの人事に発展した舞台裏を追った――。

 団体の威信を懸けた大一番を制した新日本プロレス。中邑の激勝は思わぬ余波を生んだ。同戦で桜庭のセコンドについた木谷会長が「外敵に肩入れしたのだから、ケジメをつけなきゃいけない」と辞任を表明したのだ。決戦前に団体サイドと対立した木谷会長は、同戦の結果に進退を懸ける意向を示していた。

 辞任は1月下旬に公の場で正式発表される見込みで、9月の株主総会で承認を経て決定される。木谷会長は昨年2月に同職に就任して以来、陣頭指揮を執ってきた。オーナーとしての地位は今後も変わらないが、プロレスに深い愛情を注いできた木谷会長が表舞台を去ることで、莫大な広告費を投入するプロモーションの継続は難しくなる可能性もある。

 もっとも単に試合の勝敗だけが辞任に直結したわけではない。木谷会長は「暗黒時代を完全に払拭するのが自分の役目と考えていた。この1年で、新日本自体でやっていける地力がついた。ひと区切りつけられる状況になったということ」と付け足した。この日の観衆は2万9000人発表で昨年比1万4000人減となったが、これは今年から協賛各社への招待券などを排除した数字への発表に変更したため。実際には「チケットの売り上げはここ10年で最高」(関係者)となった。業界盟主の座を確たるものとし、自身の役割は十分に果たしたと判断したという。

 木谷会長が脱却にこだわった「暗黒時代」とは新日プロが総合格闘技の人気に押され、低迷、迷走した2002年後半からの数年間を指す。それはすなわち、中邑と棚橋の2人のエースが中心となり始めた時期と重なる。

 それだけに中邑が総合格闘界のパイオニアを撃破し、棚橋とともにダブルメーンを締めたことで、木谷会長が新日プロ完全復活の第一歩を確信したという事実は意義深い。結果的に団体トップの人事までも動かす激震を呼び込んだ1・4ドーム決戦。新たな歴史の始まりを象徴する結末となった。