全日本プロレス春の祭典「チャンピオン・カーニバル(CC)」が16日、東京・後楽園ホールで開幕し、大波乱の幕開けとなった。外敵での2連覇を狙う大日本プロレスの関本大介(36)がジョー・ドーリング(35)との肉弾戦で完敗。早くも混戦様相を呈してきた。

 仁王様のように大きく見開いた目は、しばらく宙をさまよっていた。そして現実を認識するのに時間はかからなかった。足元がおぼつかない状態でバックステージにたどりつくと「まったく歯が立たなかった。これほど人種の差を感じたのは初めて…」と声を絞り出した。関本の試合ではめずらしい完敗劇だった。

 祭典にかける思いは誰よりも強かった。2月を肉体のメンテナンス期間として異例の全休。それでも復帰後はBJW認定世界ストロングヘビー級王座を鈴木秀樹(37)に奪われるなど、結果を残せていなかったとあって、自らCC連覇を責務としていた。

 試合前には「ブランクの影響? 自分では感じていないけど、シングルの連戦は(復帰後)初めてなので…」ともらしたように、わずかな不安は感じていたのだろう。動きのイメージを戻そうと、数年前に購入したDVDから、四天王時代の鉄人・小橋建太(50)がCCで戦う映像を目に焼きつけて臨んだ。

 だが試合で生かすことはできなかった。序盤はトペ・スイシーダなどで見せ場もつくったが、真っ向勝負はことごとくはね返された。最後はレボリューションボムに沈み、完全復調したドーリングにバースデー勝利をプレゼントする結果となった。「負けから始まったけど、どん底からはい上がる」。必死に前を向いたものの、いつもの覇気はない。筋肉男は優勝候補の筆頭から一転、暗いトンネルに迷い込んでしまった。