「世界一危険な格闘技」ことラウェイの日本第2弾大会が、いよいよ16日に東京・後楽園ホールで開催される。「日本vsミャンマー 5対5対抗戦」に事実上の大将格として出場するのが、女子プロレス「シードリング」に所属する高橋奈七永(38)だ。今年でキャリア20年の大ベテランが選手生命をかけて再度、過酷なリングに立つことを決めた真意とは? その胸中を激白した。

 同大会では女子64キロ級で強敵シュエ・シン・ミン(19)と対戦する。初参戦となった昨年12月11日の大会(ミャンマー・ヤンゴン市)では「MOMOKO」のリングネームで対戦し、KO勝利を収めた相手だ。

「ミャンマーで挑戦させてくれたお礼に今回の試合を受けました。相手は婚約者がいて、あの敗戦で結婚が延期になっていると聞いてます。必死になって来るでしょうけど、勝つのは私」(高橋)。2連勝へどこか余裕の表情すらうかがえた。

 それもそのはずだ。前回の試合前には「死んでしまうかも」と恐怖心にもさいなまれたが、相手のパンチを食らった時だった。「これじゃ私は倒れないと思った。プロレスのほうが痛いなって」。全日本女子プロレスに始まり20年間、女子プロのトップ戦線で激闘を繰り広げてきた自信が確信に変わった。

 しかも試合後にはラウェイの“魔力”にとりつかれたことを自覚した。「もう今後はこんな達成感はないんじゃないかなって思い、このまま現役生活を辞めるのが幸せなんじゃないかなって。燃え尽きたんです」

 実は周囲にも現役引退を口にしたのだという。社長として率いる「シードリング」のことを考えて、何とか思いとどまったものの、何物にも代えられない充実感、達成感をもう一度味わいたいという気持ちが今回、再び背中を押した。

 そしてもう一つ、ラウェイに挑む理由がある。「女子プロのリングに上がる理由は人それぞれでいいと思う。だけど、形だけのものになってしまうのは歓迎すべきことじゃない。私の試合を見て、女子レスラーは強いんだと思ってもらえたら」と異業種からの参入を歓迎する一方で、真の強さを示したいのだ。「ラウェイの魅力は細かいことは考えなくていいこと。いろいろな女子レスラーが挑戦すればいい」。女子プロ界の“横綱”と呼ばれた女には、KO勝利の2文字しか頭にない。