2016年度東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞技能賞に輝いた新日本プロレスのケニー・オメガ(33)が8日、深刻な“燃え尽き症候群”に陥り、悩める胸中を明かした。昨年は外国人選手として初のG1クライマックス優勝を果たすなど快進撃を続けた男に、何が起きたのか――。

 ケニーは年間最大興行4日東京ドーム大会でIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(29)との頂上決戦に敗北。46分45秒という壮絶な死闘の残酷な結末は、体はもちろん心にも大きなダメージを残した。

「完璧なトレーニング、完璧な準備をしたが負けてしまった…。何が足りないのか、自分で分からないと(試合を)続けられない。正直、本当にモチベーションが下がってしまった」と肩を落とした。

 もちろん最大の目標がIWGPのベルトであることに変わりはない。

 しかし自信を失ったケニーは「次は確実に取れるという自信は、今すぐにはない。だから先に鈴木軍(が挑戦)でいい」と、鈴木みのる(48)の次期挑戦が濃厚なIWGP戦線に対し、冷静な見解を示した。

 8日にカナダに帰国したケニーは、13日大阪大会から開幕する「ファンタスティカマニア」には不参戦。さらに「可能ならその次のシリーズ(27日、後楽園で開幕)も休んで、次に何を目指すのかを具体的に考える時間が欲しい」と明かした。

 単なる休養ならば問題はないが、プリンス・デヴィット(現フィン・ベイラー)、AJスタイルズとバレットクラブの歴代リーダーは、いずれも米WWEへ移籍した経緯がある。ケニーは新日プロとの契約を残しており、昨夏のG1制覇時にも「そっちに行かない」と約束をしているだけに、志半ばで新日マットを離脱するとは考えられないが…。

「俺の2016年は東京ドームでベルトを取るための1年だった。それがかなわなかった今は、気持ちの整理が必要だ」と言い残し、日本を後にしたケニー。

 復活を信じて、その時を待つしかない。