日本列島に夢と感動と希望を与えた武藤&小橋のムーンサルトプレス

2011年12月15日 14時00分

武藤の前でムーンサルトを決めた小橋

【2011年度プロレス大賞:年間最高試合賞(ベストバウト)】

 年間最高試合賞(ベストバウト)に選ばれたのは、東京スポーツ新聞社主催の東日本大震災復興支援チャリティープロレス「ALL TOGETHER」(8月27日、東京・日本武道館)のセミファイナルで行われた武藤敬司(48)、小橋建太(44)組対飯塚高史(45)、矢野通(33)組戦だ。夢コンビは未曽有の大災害に見舞われた日本列島に夢と感動と希望を与え、プロレスが持つパワーも再認識させてくれた。

 実に13試合がノミネートされる中、決選投票の末に選ばれたのは「ALL TOGETHER」で実現した夢カードだった。新日本プロレスの闘魂三銃士出身の武藤。全日本プロレス・四天王の一角だった小橋。互いに異なるルーツを持つ2人の豪華タッグは、32年前のオールスター戦で実現した故ジャイアント馬場さん、アントニオ猪木組に例えられ“平成のBI砲”と呼ばれた。

 試合のハイライトは何といっても武藤、小橋のムーンサルトプレスの競演だ。先に武藤が矢野に決めると小橋に“バトン”を渡す。促された小橋も3年9か月ぶりの月面水爆を解禁。復興への希望のアーチを描き、武藤もプロレスLOVEポーズを決めた。この瞬間、1万7000人超満員で埋まった聖地のボルテージは最高潮に達した。

 選考委員からも「力道山が言っていた『ファンが求めるものを見せる』というプロレスの鉄則を見事に実践した」「大震災後、人々が求めていた感動を体現した一戦」と称賛の声が相次いだ。

「年間十数試合しかしてない俺が、こういう賞をいただいたことに恐縮もしてしまう。俺も小橋も相手もチャンピオンでもないから、逆にうれしいね」と武藤が話せば、小橋は「復興がキーワードだったけど、自分も復活しなければならなかった。プロレスラーとしてできることがあの『ALL TOGETHER』という集まりで、そこで一番に選ばれたことは栄誉だと思う」と、上半身裸で笑顔をはじけさせた。

 くしくも、2011年の世相を表す漢字に「絆」が選ばれたばかり。満身創痍で戦う武藤と小橋も、個々の力では全盛期に及ばないかもしれない。だが2人の絆が、とてつもない“魔法”を生み出し、プロレスの底知れないパワーを見せつけてくれた一戦だった。

★新日本の悪党軍団「CHAOS」として暴れ回る飯塚、矢野組も、その存在感をいかんなく発揮した。悪役に徹したプロ根性には「最高のムードの中でヒール役を貫いたのは素晴らしい」という声も上がった。矢野は「ベストバウトって言っても、こっちは負けてるからな。2人にはいつでも仕返しに行ってやるから、覚えとけ! バカヤロー!」といつもの調子でほえまくっていた。もちろん飯塚は無言だった…。