プロレス、総合格闘技で活躍してきた野獣・藤田和之(45)が師匠のアントニオ猪木氏(73=参議院議員)に「引退あいさつ」を行っていたことが、本紙の取材でわかった。

 藤田は9月25日の格闘技イベント「RIZIN」で元大関のバルト(31)と対戦。大差の判定で敗れ「“もう、いいんじゃないか”という気持ち」「引退式とかいらない。やりきった感がある」と泣きながら引退の意向を示していた。

 その藤田がごく近い関係者数人とともに、師匠のもとを訪れたのは6日のこと。大粒の涙を流しながら引退を報告する藤田に、猪木氏は「もう十分、(実績を)残したんだろ?」とねぎらいの言葉をかけたという。藤田の引退については「自分で“頑張った”と思えるならばいいと思いますよ。やりたいことをやりきったと思えるのならば」と話していたが、藤田から直接引退を示す言葉が出たことで、そのまま受け止めた模様だ。

 藤田は敗戦翌日からIGFのサイモン猪木取締役(42)ら周辺の関係者へあいさつ回りを行っている。しかし、そんな中でもサイモン氏やRIZINの榊原信行実行委員長(52)らが現役続行に向け説得を続けることを表明。多くのプロレスラーからも引退撤回を求める声が出ていた。

 ただそれも、プロデビューしたころから指導を受けてきた猪木氏にあいさつをしておらず「翻意する可能性がある」と見られていたからだ。それが師匠の猪木氏も引退を認めたとあれば、その“希望的観測”は厳しい状況となった。

 このまま本人の言う通り、引退式もなくフェードアウトしていくのか。最後の雄姿を見たいというファンも多いはずだが…。