新日本プロレス25日の兵庫・神戸ワールド記念ホール大会でIWGPインターコンチネンタル王者のマイケル・エルガン(29)に挑戦する内藤哲也(34)が11日、不穏予告を放った。初挑戦となるIC王座に「興味がない」と言い切る制御不能男だが、同王座を巡る因縁だけは忘れていない。ベルト奪取の際には東京ドームメーンへの“通行手形”として、王座を利用する可能性も浮上してきた。

 G1で勝利を奪った王者から直接指名を受けた内藤は、神戸決戦でIC王座に初挑戦する。エルガンとは過去2戦全勝とあって「対策を練らなきゃいけないのはあっち。まあ、こうしてシリーズに全戦参戦しないのも作戦の一つなんじゃないですか?」と、12日の後楽園大会から合流する王者を挑発した。

 上半期はIWGPヘビー級王座戦線にいた内藤にとって、今回の挑戦はあくまで王者側の都合に合わせただけにすぎない。縁がなかったIC王座については「基本的に興味はないっすね」と断言する。だが同王座が引き起こした“事件”だけは鮮明に覚えている。「俺を東京ドームのメーンから引きずり降ろしたキッカケを作ったベルトですからね。実際には新日本と当時のお客様が選んだわけですけど」

 2013年G1覇者の内藤は、翌年1・4ドーム大会のIWGP挑戦権利証を守り抜き、当時の王者オカダ・カズチカへの挑戦にこぎ着けた。だが同年11月、ドームのIC戦が中邑真輔VS棚橋弘至に決定すると、新日プロは両王座戦の試合順をファン投票に委ねた。ここで敗れた内藤のIWGP戦は、事実上のセミに降格した。

 ファン投票はその翌年以降行われていないが、少なくともIC王座にはそれだけの価値と、王者には発言権があるということを内藤は十分に理解している。「今のところ来年の1月4日のメーンイベントはケニー・オメガ対オカダのIWGP戦なんだよね? でもそれって、あくまで『現時点で』だからね。トランキーロ(焦るなよ)なんじゃないかな」と不敵な笑み。ベルト奪取の際には、3年ぶりのファン投票制度復活を主張する可能性も出てきた。

 愛する広島カープのセ・リーグ優勝から一夜明けたこの日の静岡・富士大会では、8人タッグ戦で勝利。前日はワンセグ視聴から富山大会終了後ホテルに直行し、部屋のテレビで優勝を見届けた内藤は「スタンドのファン、選手も泣いてる姿を見て僕も感動しましたけど。まだ戦いは続いていきますし、本当に喜ぶのはトランキーロですよ」と平静を装ったが、いつにも増して動きが良かったことは、決してカープ優勝と無関係ではあるまい。