邪道・大仁田厚(58)が7日、いよいよ踏み出す引退ロードを前に、参議院議員のアントニオ猪木氏(73)を表敬訪問することを明らかにした。猪木氏の現役時代、何度も対戦を表明しながら実現には至らなかった宿敵ともいえる相手だが、今回は感謝の気持ちを伝えるためのもの。最大の目的は“推薦状”をもらうことだというが――。

「あと1年とちょっとでお別れだな。みんな信じてないかもしれないけど、今度こそ本当に辞めるんだけどな…。今は最後に誰とやったらいいのか、いろいろな名前が頭の中を巡ってる」。そう口にした大仁田は一人、物思いにふけっていた。

 引き際と定める来年10月25日の60回目の誕生日に向け、引退ロードが本格スタートする。だが最終ゴールとも言える引退試合の相手は暗中模索の状態。現役を退いた選手を含めればすでに天龍源一郎(66)、長州力(64)、蝶野正洋(52)、グレート・ムタ、曙(47)、そして船木誠勝(47)に髙山善廣(49)ら名だたる選手たちとの電流爆破デスマッチを実現させたからだ。

 だが例外が一人だけいる。猪木氏だ。これまで年末格闘技イベントの会場を何度も訪れて対戦を求めたが、実現に至ることはなかった。すると「それが唯一の心残りなんだよな…」と一呼吸置き、続けて「近いうちに『ありがとうございました』ってごあいさつに行く。俺は(ジャイアント)馬場さんと猪木さんに憧れ、ここまでやってこられた。2人なくして大仁田厚はなかったと思うし」と表明したのだ。

 これまで唯一の対面は2003年大みそかの「猪木祭」(神戸)。この時も対戦を求めて会場を訪れると、猪木氏は闘魂ビンタを浴びせ、握手を交わしてきた。当時の反応を見ても「脈あり」と踏んでいる。

 もちろん別の狙いもある。「できることなら猪木さんの遺伝子を継いだ選手とやりたいっていうのがある。誰がいいのか、ぜひ意見を求めたい」。引退試合を占う“邪道外交”の行方から目が離せなくなってきた。