新日本プロレスの棚橋弘至(39)が6日、7年連続1月4日東京ドーム大会メーンイベンターへの思いを明かした。G1クライマックス連覇を逃したことで新日マットの中心への道が八方塞がりとなったが、泰然自若の姿勢を貫く。その境地の裏には、テレビドラマで共演した「歌舞伎界のエース」の存在があった――。

 左肩負傷による長期欠場からG1で復帰を果たした棚橋は、5勝1分け3敗の成績に終わり連覇を逃した。現IWGP王者オカダ・カズチカ(28)に1・4東京ドームで喫した敗戦に始まり、今年は試練の1年となっている。棚橋も「ドームに勝って、G1勝って、DDTの総選挙に出るはずが…。公約の1個目からつまずいて、結局1つも果たせていない」と、さすがにもどかしさを隠し切れない。

「2017年のドームのメーンにどう戻るか」という壮大な野望を見失ってはいないが、その道は八方塞がりだ。IWGP挑戦権は10月10日の両国大会での挑戦が決まった丸藤正道(36=ノア)にさらわれ、G1覇者で挑戦権利証保持者のケニー・オメガ(32)も、22日広島大会での争奪戦の相手にYOSHI―HASHI(34)を指名。すでに始まっている新しい戦いからすっかり取り残されてしまった。

 オカダ、ケニーの両者とは因縁浅からぬだけに、強引に割って入ることも可能。だが棚橋はあえて「アンテナは常に張りめぐらせてますけど…。歓声を集めてる人間は必ず中心に戻ってくるというのが僕の理論」と静観の構えを見せる。そう、これこそがいまプロレス界で流行の「トランキーロ」の精神…というわけではもちろんない。手本としているのは「歌舞伎界のエース」の姿だ。

 棚橋は10月14日から放送されるドラマ「石川五右衛門」(テレビ東京系)に準レギュラー出演。主演の市川海老蔵(38)演じる石川五右衛門のライバルとなる剣豪役で共演を果たす。G1前に行われた撮影の現場では、海老蔵の貫禄あふれる姿に感銘を受けた。

「“中心感”がすごいんですよ。一目で中心なんだと分かる。気配り、雰囲気、目力ですね。(自分も)ベルトがなくてもこの人が中心なんだと思わせることが大事」(棚橋)と、エースの理想像を再確認したという。

 この日の栃木大会では8人タッグ戦でロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを相手に存在感を見せつけた。ドームまで残り4か月。泰然自若のエースに、果たして年内ラストチャンスはめぐってくるのか。