【ニューヨーク州ブルックリン20日(日本時間21日)発】ナカムラが歓喜のWWE初戴冠! 当地でWWE・NXT「テイクオーバー」大会が開催され、シンスケ・ナカムラ(中邑真輔=36)が、NXT王者のサモア・ジョー(37)をキンシャサ・ニー・ストライク(ボマイェ)で撃破。WWEデビューからわずか5か月で快挙を達成した。日本人初のNXT王者となったナカムラには、新日本プロレスのIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)、同じくWWE参戦中の飯伏幸太(34=飯伏プロレス研究所)らのライバルが祝福のコメントを寄せた。

 異例の入場シーンだった。NXTのPPVメーン登場は今回が初。にもかかわらずバイオリンでテーマ曲が生演奏されるという破格の演出だ。ナカムラはたぎりにたぎりまくってドラマチックに入場。1万5671人(主催者発表)の興奮は早くもピークに達した。

 会場にはWWEクルーザー級クラシックトーナメントでベスト8に進んでいる飯伏の姿もあった。

 明らかに“格差”をつけられたジョーは、不機嫌そのもので入場。ゴングと同時にパワー全開でナカムラを潰しにかかる。パワーボムから逆エビ固め、STFと体重を乗せた攻撃が続く。ナカムラも飛びつき腕十字から三角絞めと、得意の攻撃でペースを奪おうとする。王者がキン肉バスターを決めれば、挑戦者は投げ捨てジャーマン。お互いに一歩も引かない。

 流れを変えたのはやはり必殺のキンシャサ弾だった。20分過ぎ、キン肉弾をこらえたナカムラのヒザがジョーのアゴに直撃。しかし3カウントは奪えない。ならばとナカムラはコーナーからジョーの背後へヒザ蹴り。そして正面から正調式のキンシャサ弾を叩き込む。これで勝負あった。4月1日のNXTデビュー戦(サミ・ゼイン戦)からわずか5か月。“無敗街道”を突っ走って、ナカムラが歓喜のWWE初戴冠を果たした。

 試合後には「スペシャルなチャンピオンだった。自分のキャリアの中でも最もタフなファイトだったが、ようやくベルトを手に入れた…」と大きく肩で息をしながら英語でインタビューに応じ、最後は「イヤァオ!」のポーズを決めた。

 この快挙にはIWGP王者のオカダも「ナカムラさん、おめでとうございます。僕の活躍に負けないようにNXTを、WWEを盛り上げてください」と本紙を通じてコメントを寄せた。会場で激闘を見届けた飯伏は「入場から退場まで新しいプロレスを見ました。神ですね。試合後にナカムラさんと話したら、まだ不満そうでした。もうどんだけって話ですよね…」と感動を隠せなかった。

 これでメジャー早期昇格はさらに現実味を帯びてきた。WWEは7月から2ブランド制を復活。21日(日本時間22日)には同会場で真夏の祭典「サマースラム」が開催される。大会直後からステファニー・マクマホン(39)率いる「ロウ」と、シェーン・マクマホン(46)率いる「スマックダウン」による“ナカムラ争奪戦”が一気に本格化するのは間違いない。日本の「キング・オブ・ストロングスタイル」は一気に世界の顔となりそうだ。