新日本プロレス「G1クライマックス」は8日の横浜大会でAブロック公式戦が行われ、前年度覇者の棚橋弘至(39)が天山広吉(45)を撃破。開幕3連敗から大逆襲の5連勝でブロック首位タイに並んだ。柴田勝頼(36)との優勝決定戦(14日、両国国技館)を熱望するエースが、IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)との最終戦(12日、両国)で乗り越えるべき“壁”とは――。棚橋が連覇から完全復活へのシナリオを明かした。

 今大会が最後のG1となる天山と激突した棚橋は、首折り弾とアナコンダ殺法に苦しみながらもスリングブレイドで反撃。必殺のハイフライフローで粘る猛牛を振り切った。

 左肩負傷から欠場明けとなったG1で開幕3連敗。だが土俵際からが棚橋の真骨頂だ。破竹の快進撃で、ついに首位タイに並んだ。ただでさえ今大会は背水の陣で臨んだ。1月4日の東京ドーム大会でオカダにメーンの連勝記録をストップされ、6月の大阪城ホール大会は無念の負傷欠場。「エース・棚橋」の存在価値は薄れつつあった。

 復権が至上命令のG1で、棚橋は決勝戦の相手に柴田を指名。今年上半期で本格的にブレークした内藤哲也(34)とオカダが大阪城決戦のメーンを務めた現状に、危機感を抱いているからだ。

「どんどん(押し寄せる)世代の波を感じる。去年は中邑(真輔=現WWE)との決勝戦でそれを食い止めた。この(自分たちの)世代が中心と証明するには、相手も大事になってくる」と、新日マットの“世代闘争”に見立てた今大会でのライバル決戦を希望した。

 その前に最終公式戦(12日)で立ちはだかるのがオカダだ。5選手が3敗で並ぶ混戦を抜け出すには勝利が絶対条件。さらにはG1公式戦の「30分1本勝負」という制約が重くのしかかる。

 実力が拮抗する両者のシングル戦は、2013年1・4ドーム決戦以降6戦全てに30分以上を要しており、唯一の引き分けは13年G1公式戦の30分時間切れドロー。ただでさえ最大のライバル相手に「時間」という壁を乗り越える必要がある棚橋は「普段は意識しないけど、今回は意識せざるを得ない。30分以内と考えてちゃダメ。早めに飛ぶとかね。下手なハイフライ、数撃ちゃ当たるですよ」とキッパリ。高いリスクを承知で短期決戦を狙うつもりだ。

「今年の上半期(の低迷を)全部取り返すには、G1クライマックス優勝しかない」。巻き返しの夏に、太陽が再び新日マットの中心に返り咲く。