新日本プロレス「G1クライマックス」は1日の高松大会でBブロック公式戦が行われ、初出場のケニー・オメガ(32)がEVIL(29)を下して3勝目を挙げた。史上初の外国人G1覇者の座へ突き進む原動力となっているのは、世界最大のプロレス団体・WWEへの対抗意識だ。今年1月に激震に見舞われた極悪外国人軍の新リーダー・ケニーの胸中は――。

「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のEVILと一進一退の攻防を展開したケニーは、強烈なヒザ蹴りで主導権を握る。リバースフランケンからVトリガー(ランニングニー)につなぐと、最後は片翼の天使(変型ドライバー)で激闘に終止符を打った。

 初出場ながら前IWGPインターコンチネンタル王者として優勝候補の一角と目されるケニーは、これで3勝2敗と白星を先行させ首位タイに浮上した。四半世紀以上にわたる歴史を誇り、今年で26回目を迎えるG1において、外国人覇者はいまだ誕生していない。ケニーには今年、どうしてもその壁を破らなければならない理由がある。

「例えば俺が決勝にすら行けなかったら…それはまるで『WWEの勝ち』みたい。カール・アンダーソン、ドク・ギャローズ(ルーク・ギャローズ)、AJスタイルズもプリンス・デヴィット(フィン・ベイラー=昨年7月に移籍)もできなかったことを、自分が成し遂げたいんだ」

 バレットクラブは今年に入ってシンスケ・ナカムラ(36=中邑真輔)と同時期にAJ、ギャローズ、アンダーソンの3選手がWWEへ移籍。存亡の危機を迎えた。激動の中で新リーダーに就任したケニーは「本当にベストのメンバーは新日本のリングに残っている、ということを見ている人に分かってほしかった。ICのベルトを取ることでそれを証明できたと思うけど、これもWWEに行ったナカムラから直接は取れなかった(注・新王者決定戦で戴冠)ので十分なものではなかった」と上半期を振り返る。

 だからこそG1を制することで、自身が歴代最高の外国人選手であることを証明したい。ケニーにとってこの夏は、他の出場19選手との戦いであると同時に、4人の元BCメンバーが活躍する世界最大の団体に対する「レジスタンス」でもある。