大日本プロレス24日の東京・両国国技館大会はまさかの大波乱続出となった。

 最大のサプライズはメーンで行われたBJW認定デスマッチヘビー級王座戦だ。なんとノーマークだった挑戦者の星野勘九郎(41)が、5度防衛中の絶対王者・伊東竜二(40)を撃破。苦節11年目で初めてシングル王座を手中にした。

 リング上に足場が組まれ、四方をブロックが取り囲む「スキャフォールドGショックデスマッチ」形式で行われた一戦では、サボテンや塩、注射器とあらゆる凶器が飛び出した。星野は伊東の顔面に注射器を貫通させて優勢に立つと、最後は足場からのダイビングセントーンで3カウントを奪った。

 団体史上でも前例のない大番狂わせに、思わぬハプニングも起きた。星野のセコンドに就いていた“平成極道コンビ”の相棒・稲葉雅人(33)が、興奮のあまり星野の愛息・遥斗君(3)をリングに上げてしまったのだ。星野がマイクで「生まれてきてくれてありがとう」と呼びかけると観客からは大歓声が起きたのだが…。

 感動的なシーンから一転、リングを下りると新王者は「段取りが悪かった。自分も舞い上がっていたし…。せっかくチャンピオンになれたし、自分で『遥斗ー!!』って叫んでから呼び込みたかった」とうなだれた。さらには「次はきちんと防衛して、息子の名前を呼んでリングに上げたい」と、映画「ロッキー」の名場面再現を新たな野望に掲げた。

 2005年に超インディ団体でデビューし、09年に大日本入団を果たした苦労人。175センチと小柄ながら、移動バスの運転手を務めるなど裏方業もこなしており、選手からの信頼は絶大だ。プロレス界でも異例の「移動バス運転手兼王者」は独自の道を突き進む。