新日本プロレス「G1クライマックス」は22日の東京・後楽園ホール大会でBブロック公式戦が行われ、本間朋晃(39)がNEVER無差別級王者の柴田勝頼(36)から金星を挙げた。奇跡の白星発進の裏には、ある“専門筋”からの「こけし禁止令」に逆らう悲壮な決意があった。
本間は今回が3度目のG1出場。過去2大会で通算1勝18敗と、よく考えればなぜ今年も出場できるのか不思議な戦績だ。初戦の相手は3日の岩手大会の王座戦で惨敗を喫したばかりのNEVER王者・柴田とあって、下馬評は圧倒的不利だった。
だが、本間はそれを覆す意地のファイトを展開した。柴田の打撃を耐え抜くと正調とリバース式、2発のこけし落としでマットに突き刺す。最後は渾身のこけし(ダイビングヘッドバット)をヒットさせ、天敵・柴田からのシングル初勝利を奪ってみせた。
真夏の祭典に大波乱を起こした一撃には、男の決意が秘められていた。実は本間はこの1か月、“頭”のことで頭を悩ませてきた。周囲から「最近急激にハゲた」という声が相次いでいたのだ。「ここ最近すごくいろいろな人に言われるんですよ。気を使って言わない人も、気づくと相手の目線が頭部にいってるんです…」
思い悩んだ本間は6月下旬に毛髪関連事業の大手「アデランス」のヘアチェックを受診。薄毛進行の原因が「精神的ストレス」と判明するとともに、なんと必殺技のこけしは「頭皮に良くない」ため使用禁止令が出されたというのだ。
ハゲたくなければ必殺技を封印するしかなく、かといって試合に勝てなくなれば精神的ストレスが増える。つまり、どのみちハゲる運命にあることを悟った本間は「身を削ってでもこけしを出し続けるしかない。ドクターストップ(?)なんか聞いていられないですよ」と、レスラーとして勝利を最優先し、必殺技と“心中”する覚悟を決めた。
何より悲願のG1優勝を果たせば、悩みも解決する可能性が出てくる。「優勝賞金(1000万円)は増毛と日焼けに全部使います。ギラギラの夏(今大会のキャッチコピー)じゃなく、フサフサの夏にする」という本間に、真夏の女神はほほ笑むか――。