新日本プロレス19日の大阪城ホール大会を観戦した木谷高明オーナー(56)が、団体の現状に危機感を抱き緊急警鐘を鳴らした。

 この日の観衆は9925人と、昨年大会の1万1400人を下回った。木谷オーナーは昨年が21年ぶりの再進出という話題性もあったことを考慮し「そこから1割減であれば100点満点。もちろん来年は昨年以上を目指します」と総括した。

 一方でこの日は隣席に総合格闘家の青木真也(33)が座り、会場をどよめかせた。木谷氏は本紙の取材に「あくまで最終判断は現場に任せます。『やらない』となればそのレベルの話」とした上で、かねて高評価を与えている青木の新日プロ参戦を進言する意向を明かした。

 その裏には木谷氏が抱く危機感がある。「個人的にはアメリカンプロレスに寄りすぎかなと思っている。僕はアメリカンプロレス『も』好きなんです。完全にそっちに重なってしまうと、WWEの二軍にしかならない」と団体の現状に警鐘を鳴らした。

 新日プロには創設者で現IGF総帥のアントニオ猪木氏(73)が故モハメド・アリ氏と繰り広げた異種格闘技戦などの歴史から、ストロングスタイルを標ぼうする伝統がある。「今までは(MMA参戦歴がある)中邑選手がそれを担保してきた部分がある。それがなくなってしまった」と分析する木谷氏は「(今の主流とMMA路線が)混ざり合えと言っているわけではない。オカダ選手たちは今のスタイルを磨いていってほしい。ただいろいろなものがあって、お客さんに見せていっていい。バランスが大事」と、現状の人気に満足することなく、変革の必要性を説いた。

 その起爆剤としてまずは青木に白羽の矢を立てた格好だが…。年明けから主力選手の移籍が相次ぎ、激動が続いた今年の新日プロだが、下半期のリングも風雲急を告げてきそうな気配だ。