世界最大のプロレス団体WWEは13日(日本時間14日)、「クルーザー級クラシック・トーナメント」(23日から開催)の参加選手32人を発表。日本のゴールデンスター・飯伏幸太(34=飯伏プロレス研究所)のWWE初参戦が正式決定した。日本一扱いが難しいとされるフリーレスラーが世界最高峰の舞台に上がるまでの裏舞台と、新たなる研究に際した野望と不安とは――。
飯伏は今年4月にシンスケ・ナカムラ(中邑真輔=36)のWWEデビュー戦が行われたNXTの会場を訪問。これによりトーナメントへの参戦が濃厚視されてきたが、ついに正式発表となった。
知らない電話番号の着信通知は無視し続けるため、国内団体でさえコンタクトを取ることが困難な男に、WWEはどうやって連絡を取ったのか…。
実は最初の接触者は新日本時代のライバルで現WWEのフィン・ベイラー(プリンス・デヴィット)だった。「唯一外国人選手で連絡先を知ってる人間ですから。2月末くらいに『WWEが話をしたがっている』と」
米国遠征のスケジュールと合致したためNXT来場時に関係者との会合が実現したが、当時の飯伏はWWEについてあまりに無知過ぎた。バックステージで会った男性が最高権力者のビンス・マクマホン会長(70)とは気付かず陽気にハイタッチしてしまい、関係者が肝を冷やしたほどだ。
飯伏自身もこの時はオファーを断っていた。それでも帰国後もWWE側から熱心な誘いがあったことで少しずつ心境の変化が芽生え「今までやってきたプロレスが世界で通用するか実験、研究しよう」と参戦を決意したという。
これを機にWWEへ移籍するのではとの噂も飛び交っているが、飯伏は「日本でやり残したことはある」と言い切る。現時点では、トーナメント開催時のみの単発契約と見られる。
もちろん出場するからには、世界最高峰の舞台で実力を証明するつもりだ。飯伏は「日本人のプロレスラーのすごさというか、底力を見せつけてきたい。日本のプロレスファンに恥をかかせたくないです。この舞台で優勝して、日本のプロレス界に還元できるものがあれば。行ってきます!」と目を輝かせた。
現在WWEではナカムラやベイラー、AJスタイルズら激闘を繰り広げてきたライバルたちが活躍しているだけに、飯伏への期待は高い。WWE公式サイトも「日本レスリング界で最も期待される一人」と紹介しているほどだ。
むしろ問題はリング外で、英検4級レベルも怪しいとされる英語力は致命的。だが飯伏は「問題ないです。タイから黒人の研究員(注・中澤マイケル?)も来る。無給です」と話しており、現地では研究所の総力が結集される見込みだ。
最大の問題は、今回の渡米は同伴者がいないため、自力で飛行機に乗れるかどうかだという。取り急ぎ今週末に出発予定の飛行機の座席指定は本紙記者に丸投げ。「乗り継ぎとか怪しいですね。到着できるか、それだけが不安。だから一緒に行こう」。誰に対して言っているのかはよく分からなかったが、とにかく米国に無事到着さえすれば、日本のゴールデンスターが世界のプロレスファンを驚かせることは確実だ。
WWE参戦決定!飯伏幸太 クルーザー級トーナメント出場の内幕
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